＊決勝戦 ページ15
＊
「入るよA。今日は、夕日が綺麗だね。」
「.....」
あれから俺は、特訓を終えた後に毎日Aのお見舞いに来た。
ベッドの上で人形のように眠るAに話しかけても返事は返ってこない。
「明日はついに決勝だね。守は必殺技を身につけて調子もいいし、皆元気そうだよ。」
「......」
いつもより冷たいAの手を握る。
日に日に顔色は青白くなっていき、死が迫ってきているような不安に駆られる。
「A、」
「.......」
「Aっ、」
「......」
何度呼んでみても、返事がかえってくることはない。握った手に縋って、気づけば頬を暖かい物が濡らす。
はやく、目を開けてよ。A。
俺の情けない声は、真っ赤な夕日が差し込む病室に木霊していた。
.
そしてとうとう、決勝の日がやってきた。
Aは目を覚まさないままで、俺はAの病室で
テレビから試合を観戦することにした。
テレビの向こうで、緊張した面持ちのイナズマジャパンのメンバー達。
「A、試合が始まったよ。」
手を握ってAに話しかける。
「必ず、世界一になってくれ。」
＊
決勝を観戦する時のフィディオとマークの
席の近さに悶えました。私を殺すつもりでしょうか、奴らは。
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作者名：鈴神 | 作成日時：2020年6月11日 9時
