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「ん?おいキミ、どうした?」


『!!』






ふと誰かの声が聞こえ、少女は弾かれたように顔を上げる。先ほどまで誰もいなかったこの森に1人の男が加わっていたのだ。


少女がいる場所からそう遠くないところに不思議そうな顔をした男が立っている。男の白い長髪が異様なほど際立っていた。




急に現れた男を警戒しながら、いつでも逃げれるようにと少女は立ち上がる。後方を横目で確認した後、少女は静かに口を開いた。






『………誰』


「そう警戒するな。ただここを通りかかっただけのジジイにすぎん。キミは?」


『………誰だっていいでしょ。早く消えて』






少女の口から恐ろしく冷たい声が出る。


幼い子どもが出したとは思えない声に男は一瞬驚いたが、とくに気にした様子もなく、さらに話し続ける。






「怪我をしているじゃないか。こっちにきなさい。手当てしてあげよう」


『………いらない。これくらい自分でできる』






男の親切な申し出を即座に断る少女。


殺気にも似た剣幕で男を睨み、相手の返事を待たずに少女は背を向けて歩きだす。少女の暗い瞳には静かな怒りが揺らめいていた。






『………』






少し歩いたところで少女は足を止め、ゆっくりと振り返る。


得たいの知れない男から離れようとした少女だったが、驚くことに男は少女の後をついてきていた。






『どうしてついてくるの』


「キミのような若い子をこんなところに放ってはおけんよ。近くの町まで送っていこう」


『しつこいな………私に構わないで』






苛立ちを含んだ言葉が少女の口から出る。


男の言葉はすべて本心から来るものであったが、少女には男の………ましてや「大人」の言葉など信用できるものではない。


少女は再び前を向き、先ほどのように歩きだす。その後ろを一定の距離を保って男が続いた。






「そう言ってくれるな。もう夜も遅い。子どもが出歩くには危険すぎる」


『関係ない………もう、惜しむ命でもないし』


「………何があった?キミの両親はどこにいる?」


『………』






少女の歩みが止まると男もその場に足を止める。男に背を向けたまま、少女は男の問いに答えた。






『………いない』


「いない?なら、キミの故郷は_____」


『しつこいな!!!』






静かな森に少女の大きな声がこだまする。


星が煌めいていた夜空には、まるで今の少女の心を写したかのような黒い雲が浮かんでいた。

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うさこ - 続き楽しみです (11月2日 4時) (レス) @page29 id: acedfd8679 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか?出来れば、トラファルガーローオチでお願いします🥺続き待ってます。頑張って下さいね。 (8月20日 2時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
カリリン - もう、書いていただけないのでしょうかぁ… (2023年5月1日 19時) (レス) @page29 id: d3adcc0fb3 (このIDを非表示/違反報告)
*Noah*(プロフ) - ついに夢主を認識しましたか!キャプテンがこの後どうするのか、夢主ちゃんとどうなるのかすごく気になります!大変だとは思いますが、頑張ってください。応援してます!! (2023年1月17日 17時) (レス) @page28 id: aaa7af5a28 (このIDを非表示/違反報告)
りりあさん。 - あ“あ”あ“あ”あ“続きまってますううう!!!!!!! (2022年11月15日 21時) (レス) @page25 id: 60176f6c78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チャシャ猫 | 作成日時:2021年8月23日 0時

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