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逃げる素振りを一切見せない女の様子に店から出ようとしていた店主は慌てて声をかけた。
「お嬢ちゃん、あんたも逃げろ！海賊がすぐそこまで来てるぞ！」
店主は急いで女の側へ駆け寄り、一緒に避難するよう促す。
それでもなお、女は立ち上がろうとはしない。緊迫した状況とは裏腹に女はどこかくつろいでいる様子だった。
『私のことは気にしないで。店主さんこそ、早く逃げた方がいいよ』
「いやいや、お嬢ちゃんを置いていけねェよ！海賊なんかに捕まっちまったら、きっとひどい目に………！」
2人はつい先ほど会ったばかりだ。会話したのも、たったの数分しかない。それにも拘わらず、店主は女の身を心から案じてくれている。
その反応に女は驚いた様子だった。
『………心配してくれてありがとう。でも大丈夫。私もちゃんと行くからさ。ね？』
「お嬢ちゃんがそう言うならいいけどよ………頼むから必ず逃げてくれよ！？絶対だぞ！」
『うん。店主さんも気をつけてね』
説得も虚しく、渋々といった様子で女の側から離れる店主。何度も振り返りながら立ち去る姿を女は手を振って見送った。
足音と共に店主の気配が遠ざかり、静寂がまた辺りを包む。グラスに入った氷が涼しげな音を奏でた。
『ふう………』
誰もいなくなった店内を見渡した女はめんどくさそうにため息をつく。重い腰を上げて席を立ち、ようやく店の外へと足を進めた。
一歩外に出た途端、海賊から逃げ回る人々の姿が目に入る。女はその様子をしばらく静観した後、空を見上げて目を閉じた。
人々の悲鳴が先ほどよりも近いところ………それも多数の方向から聞こえてくる。この町を襲撃した海賊たちはよほどの大人数なのだろう。
『………』
閉じていた目を開けば清々しいほどの青空が視界に広がった。海から流れる心地よい風を受け、女は悲鳴が聞こえる方へと足を運ぶ。
そんな女の手元には1本の長い剣があった。
『“行く”とは言ったけど………“逃げる”とは言ってないしね』
誰にも聞こえない声で小さく呟いた女の顔には妖しげな笑みが浮かんでいる。フードをさらに深く被り直し、女は雑踏の中へと消えていった。
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うさこ - 続き楽しみです (11月2日 4時) (
レス) @page29 id: acedfd8679 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか？出来れば、トラファルガーローオチでお願いします🥺続き待ってます。頑張って下さいね。 (8月20日 2時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
カリリン - もう、書いていただけないのでしょうかぁ… (2023年5月1日 19時) (レス) @page29 id: d3adcc0fb3 (このIDを非表示/違反報告)
*Noah*(プロフ) - ついに夢主を認識しましたか！キャプテンがこの後どうするのか、夢主ちゃんとどうなるのかすごく気になります！大変だとは思いますが、頑張ってください。応援してます！！ (2023年1月17日 17時) (レス) @page28 id: aaa7af5a28 (このIDを非表示/違反報告)
りりあさん。 - あ“あ”あ“あ”あ“続きまってますううう！！！！！！！ (2022年11月15日 21時) (レス) @page25 id: 60176f6c78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チャシャ猫 | 作成日時：2021年8月23日 0時
