Prologue ページ1
_____
野花が咲き乱れる丘に1人の少年と1人の少女が座っていた。
2人は1冊の本を熱心に覗き込み、軽い議論を交わしては隣の紙に次々と書き記していく。
既にたくさんの文字で埋め尽くされた紙が柔らかな風に煽られ、その様子はまさに、雛鳥が未だ見ぬ大空へ飛び立とうとするかのようだった。
真剣な顔で話し込む2人の表情には子どもっぽさなど全くなく、どこか大人びている。
｢この手術の時は、こっちの血管を使うって父様が言ってたから_____｣
『じゃあ、それを切断する前にこっちを_____』
無論、会話の内容も難しいものばかりである。
＊＊＊
｢………よし！今日はこれくらいにしようぜ｣
『うん、そうだね』
パタンと本を閉じ、そのまま仰向けになって空を見上げる2人。
互いに腕を伸ばし、頭上を通る雲の形に話を弾ませる彼らの様子は年相応の子どもたちだった。
｢………あ、そうだ。A、ちょっとここで待っててくれ｣
『どうかしたの？』
「いいから。すぐ戻ってくる」
『わかった。じゃあ、ここで待ってるね』
「ああ」
笑みを浮かべて遠くに駆けて行く少年。小さくなる後ろ姿を見送った後、少女は再び視線を空へと向けた。
『〜♪』
柔らかな風が頬を撫で、気持ち良さそうに少女は目を閉じる。風に揺れる木々の音と鳥のさえずりを聞き、少女の口から自然とメロディが紡がれていく。
「Aー！」
再び世界をその目に写し、少女は声のする方へと視線を送った。少年の手元にあるものを見て、少女はパアッと目を輝かせる。
『わあ………！それって珍しい薬草だよね』
「ああ。前にここで見つけたのを思い出してさ。それから………これもやるよ」
差し出されたのは1輪の美しい花。それは以前、少女が好きだと言っていた花だった。
嬉しそうに微笑む少女を見て、少年の顔にも笑みが浮かぶ。
｢なあ、A｣
『？』
「おれたち2人で父様たちを越える医者になろう。そして、たくさんの人を救う医者になるんだ」
興奮気味に夢を語る少年の姿を微笑ましく眺める少女。2人の眼下には愛すべき故郷が見える。
「おれたちはずっと一緒だ。そうだろ？」
『もちろん。2人でたくさんの人を救おうね。ずっと一緒だよ』
｢約束だぞ｣
『うん。約束だよ、ロー』
幼い2人は小指を絡め、未来の約束を交わした。
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うさこ - 続き楽しみです (11月2日 4時) (
レス) @page29 id: acedfd8679 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか？出来れば、トラファルガーローオチでお願いします🥺続き待ってます。頑張って下さいね。 (8月20日 2時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
カリリン - もう、書いていただけないのでしょうかぁ… (2023年5月1日 19時) (レス) @page29 id: d3adcc0fb3 (このIDを非表示/違反報告)
*Noah*(プロフ) - ついに夢主を認識しましたか！キャプテンがこの後どうするのか、夢主ちゃんとどうなるのかすごく気になります！大変だとは思いますが、頑張ってください。応援してます！！ (2023年1月17日 17時) (レス) @page28 id: aaa7af5a28 (このIDを非表示/違反報告)
りりあさん。 - あ“あ”あ“あ”あ“続きまってますううう！！！！！！！ (2022年11月15日 21時) (レス) @page25 id: 60176f6c78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チャシャ猫 | 作成日時：2021年8月23日 0時
