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それからふたりでホテルを後にした。
こんな短い時間のためにお金を払わせるのが申し訳なくて私が払うって申し出たけど、智はんふふ、って笑って教えてくれた。
「だいじょぶ。お得意さんだから、短時間は割安なの」
「お得意様？」
……お得意様なんだ。
どんなときに使ってるんだろうって不思議に思いながら、こんな風に女性を待たせたことがあるのかなって考えたら。
心の奥でメラメラと燃えるものがあることに気づく。
「……」
「……A？」
「なに」
「…なんか怒ってる？」
「怒ってないよ」
「うそ。口むうってなってる」
智の人差し指が私の唇にツン、って触れた。
それに驚いて肩を上げると、恥ずかしそうに、でも嬉しそうに下唇を噛んで笑った。
「…A、覚えてる？」
「…なにを？」
「一昨日の朝。俺に"一週間でしょ"って言ったの」
「……」
"一週間でしょ"
……覚えてる。
残された時間が後少しだと思ったら、急に不安になって。
一週間って言ったのはそっちなのに、変に期待させられて捨てられたら死んでしまうかもってまたさらに不安になって。
一週間の関係のくせに優しくしないでよって。
「…うん」
「俺、あん時までAはちゃんと俺の彼女だと思ってたんだよね」
「え、」
「えっちしてんじゃん？しかもまいんちしてんのに、そんなん好きな女にしかしないじゃん」
「、……それは私にはわかんないけど……」
「え、Aは好きでもない男とまいんち出来んの？」
「、そういうことじゃなくてっ、」
男と女の違いというか、男だから自分の欲望に正直なのかなとか、そういうふうにも捉えられるじゃない。
「…一週間っつったのが間違ってたのかなぁ。でも俺、ずっとAのこと好きって言い続けてたんだけどなぁ」
「、あれは自分たちが好き合ってると思ってないとご両親を欺けないからでしょ？」
「……そんなこと言ったっけ？」
「言ったよ！」
口をむうっと閉じて眉をしかめて考えてる。
まさか忘れてるなんて。まさかまさか。
急に立ち止まって、繋いでた手がぐんって引かれた。
「……忘れた」
ものすごく真面目な目が訴えてくる。
「……忘れたの？」
「…ん。忘れた……ごめん」
「……私、ずっと一週間なんだからって言い聞かせてたんだよ」
「え、……」
「……」
泣きそうになって、顔を背けて歩き出す。
振りほどいた手に絡んでた温もりが残っていて、それがさらに涙を誘う。
*
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さゆ(プロフ) - こんにちは。とっても素敵なお話をありがとうございました(*´∀｀)何回読んでもぐっときます！妬いてるのも独占欲強いのもかわいい。まっすぐな智くんが素敵すぎです。また、智くんで書いてほしいなぁ。楽しみにしてます。 (2020年3月5日 12時) (
レス) id: b39ec88e32 (このIDを非表示/違反報告)
智恵里(プロフ) - うわぁーん(。´Д⊂)素敵すぎます！！幸せになってくれて良かった！！ (2019年11月18日 20時) (レス) id: 82290003ef (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - さぼてんさん» さぼてんさん、こんにちは！無事完結しました！次のお話もお付き合いいただけると嬉しいです♪ (2019年11月18日 11時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ともさん» ともさん、こんにちは！楽しんでいただけたようでよかったです(*^_^*)コメントありがとうございます！ (2019年11月18日 11時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ていくさん» ていくさん、こんにちは！お話、最後までお付き合いいただき、楽しんでいただけたようでよかったです(*^_^*)ニノのお話読みたいと言ってくれる方がいてよかった(笑)一歩踏み出す勇気が出ました(*^_^*)いつもありがとうございます！ (2019年11月18日 11時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うさこ
| 作成日時：2019年9月7日 0時
