61 10/8 ページ21
智の家の鍵は持っていないし、自分の家の鍵も智の家にあるから帰れなくて。
かと言って家の鍵持ってないから帰れない、ともいえなくて、結局早退してきてしまった。
会社の近くで時間をつぶすことも出来ず、あてもなく歩いて。
外にでたら少し気が紛れた気がして、ふう、とため息が漏れた。
漫喫なんか入ったら、また一人で悶々と考えてしまいそうだ。
お腹も空いた気がして目に付いた小さなカフェに入る。
窓際の席。
…この辺り初めて来たかも。
ランチタイムも終わり、外を歩いてる人もさっきより少なくなっていた。
女の人の姿は少なくなって、男の人の往来が多い。
この中に智が……流石にいないよね、なんて考えてたら、目の前を通り過ぎようとしていた雅紀君。
何でこんなところに？って思った瞬間、きょろきょろしてた視線とぶつかった。
ガラス越しでも声が聞こえてくるくらい大きな口を開けて"あ！"って言った。
「Aちゃん！」
入り口から入って来るなり大声で私を呼ぶ。
「雅紀君仕事？この辺くるんだ？」
「違うよー！Aちゃん探しにきたの！」
「え？」
店員さんにアイスコーヒーって歩きながら流れるように注文して、勢いよく目の前に座る。
「もー探したよ！」
「へ？」
「だってAちゃんとこに顔だそうと思って行ったら早退したとか言うし！」
「……」
なんで私のとこに顔を出す必要があるの？って思いつつ、まぁそこはスルーして。
「リーダーに言ったらAちゃん家の鍵持ってないって言うし、すげーみんなあわててさ、」
そこまで言って、そうだ電話、って慌てた様子でスマホをポケットから取り出した。
「……、あ、リーダー？みつかった！……うん。……そーだね、そうして。……わかった、俺もう少しいるね。じゃあね」
再びスマホをポケットの中に押し込んで、ちょうどアイスコーヒーが運ばれてきた。
「おまたせしました」
「ありがとう」
雅紀君のアイスコーヒーと、私の目の前にはランチプレートが置かれた。
十六穀米にハンバーグ、具だくさんスープにゆで卵スライスの乗ったサニーレタスのサラダ。
そういえば、昨日の夜からほとんど食べてなかったことを思い出す。
朝も結局食欲がなくてほとんど食べられなくて……
「…いただきます」
コンセプトは分からないけど、きっと健康を考えて作られたメニュー。
おいしい。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1284人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さゆ(プロフ) - こんにちは。とっても素敵なお話をありがとうございました(*´∀｀)何回読んでもぐっときます！妬いてるのも独占欲強いのもかわいい。まっすぐな智くんが素敵すぎです。また、智くんで書いてほしいなぁ。楽しみにしてます。 (2020年3月5日 12時) (
レス) id: b39ec88e32 (このIDを非表示/違反報告)
智恵里(プロフ) - うわぁーん(。´Д⊂)素敵すぎます！！幸せになってくれて良かった！！ (2019年11月18日 20時) (レス) id: 82290003ef (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - さぼてんさん» さぼてんさん、こんにちは！無事完結しました！次のお話もお付き合いいただけると嬉しいです♪ (2019年11月18日 11時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ともさん» ともさん、こんにちは！楽しんでいただけたようでよかったです(*^_^*)コメントありがとうございます！ (2019年11月18日 11時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ていくさん» ていくさん、こんにちは！お話、最後までお付き合いいただき、楽しんでいただけたようでよかったです(*^_^*)ニノのお話読みたいと言ってくれる方がいてよかった(笑)一歩踏み出す勇気が出ました(*^_^*)いつもありがとうございます！ (2019年11月18日 11時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うさこ
| 作成日時：2019年9月7日 0時
