9 中学生 ページ9
あまり言葉を交わさないまま、小学校を卒業した。
結局翔と中学のことについて話すこともなく、風の噂でみんなと同じ地元の中学に進学する事を知った。
あの時の安堵感から脱力した感覚は今でも覚えている。
中学に上がり、やはり私たちはあまり言葉を交わさなかった。
クラスが違ったことも要因だけど、朝練があるかないかで学校の行き帰りの時間も全く違っていて。
別にただの近所に住む同級生なんだけど、すれ違いみたいな。
だからと言ってめちゃくちゃ寂しい訳じゃないけど、ちょっと気になるというか。
それに、このころになると翔は学校中の人気者で。
中ニの時なんて特にすごかった。
上級生も下級生も、もちろん同級生にも大人気で。
私が話しかける隙なんてなかったし、それ以前に話してるところなんて見られたら、なにかされるんじゃないかと思うくらいだった。
直接聞いた訳じゃないけど、友達からの情報でバレンタインに100個もらったとかなんとか。
そんな噂が立つくらい翔は人気者だった。
そして3年になり、私たちは受験生になった。
私は近くに通いたくて、レベルは下がるけど偏差値ド平均の高校を志望した。
ただ親に少しでも上を目指しなさいと言われ、表向きは私のレベルだとちょっと難しそうな遠い学校を第一志望に決めた。
もちろん翔の志望校なんてしらないし、聞く機会もない。
なんとなく、きっともう翔とは話もしないで卒業していくんだと思っていたある夏の日。
転機が訪れた。
隣町の図書館で勉強していると、たまたま隣に翔が座った。
「、A？」
「え、……」
驚きすぎて声が出なかった。
翔は相変わらずのクリクリのおめめをぱちくりさせて、満面の笑みで"久し振り"と言った。
久々に聞いたその声は私の知っているものとは少し違っていて。
その時初めて声変わりを身近に感じた気がする。
半袖から覗く腕なんか勝手にたくましくなっていて。
不覚にもドキッとした。
勉強している間、言葉は交わさなかった。
そろそろお昼の時間だから家に帰ろうかな、と席を立ったとき。
「、……」
翔もすぐに立ち上がる。
それに驚いて目を丸くさせて片づけてる姿を見てると、ふと目が合った。
翔の指が入り口の方を指差してすぐ、唇が動く。
"そと"
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うさこ(プロフ) - ちささん» ちささん、はじめまして(*^^*)コメントありがとうございます！そんなに読んでいただいてるとは…嬉しいです♪私もあまり曲が聴けず、別の方の歌ばかり聴いてます(^^;)こんなことしてるうちに時間は過ぎてしまう……早く抜け出したいものです(T_T) (2020年1月26日 21時) (
レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ebi信号さん» ebi信号さん、こんにちは！コメントありがとうございます！私もこの世界のかれらはとっても好き！書きたい！書きたいのに……！うまく行かない事って有りますね(T_T)少しずつ回復してるはずなので、続きもちょこちょこ書いていきます！ (2020年1月26日 19時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - のんびり更新楽しみにしてます！うさこさんの中で整理がつくことは難しいかもしれないですけど、何の暗い気持ちも持たないで書けるようになれるのを願ってます。 (2020年1月20日 17時) (レス) id: cb0300c43d (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - はもっと大変だろうなと思います。私はお名前を拝借して自分の中で現実と似た別の人物を作り上げているから読めるものの一から作るとなると現実の方が頭に浮かびますよね…。私はしばらく歌すら聞けてません苦笑 うさこさんの話、どの作品もとても大好きなので (2020年1月20日 17時) (レス) id: cb0300c43d (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - はじめまして、うさこさん。S上司や産婦人科医、私に構わないで、女友達やCHANGEなどたくさんうさこさんの作品は読んでいます。にのちゃんの件もしょーくんの件もよくわかります。私自身色々な作者さんの作品に逃避してるところがあるので、作り上げる作者のうさこさん (2020年1月20日 17時) (レス) id: cb0300c43d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うさこ
| 作成日時：2020年1月6日 0時
