お兄ちゃんと私 (ページ49)

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母からの知らせー和也side ページ49

その日の夜、俺は一人で今後のことを考えてた
Aの居ない家は静かで．．．正直慣れない
いつもAの声があって、あの可愛らしい背中があって
韓国アイドルに夢中なAだけど
その横顔は俺に似てて名前を呼べばなにー？とか無理とか言ってくるけど
笑ったときは眉が八の字になってえくぼができて
どうしようもないほど愛おしくなるんだよな
歳が離れてるから余計か

ビールを飲みながら空を眺めてたら俺のスマホが震える
着信相手は．．．母さんだ

和也『もしもし』

お母さん『あ、和也？』

和也『俺の携帯に掛けてるんだから俺が出るでしょーよ(笑)』

お母さん『そうよね(笑)元気？』

和也『んー、まあまあ』

お母さん『実はねお母さんたち、もう少し旅をしようかと思ってるの！だから連絡しとこうかなって』

和也『どのくらい？』

お母さん『そうね、一年くらい？』

和也『い、一年！？』

お母さん『もう二人とも大人だから大丈夫よね？』

和也『いや、いま大丈夫じゃない．．．』

お母さん『なにかあったの？』

和也『Aいま入院してるんだ、パニック起こしちゃってて気持ちも安定してなくて』

お母さん『そうなの？Aは大丈夫？』

和也『昨日は大変だったみたい。さとっさんが行ってくれててさ』

お母さん『そうなのね、やっぱりお母さんたち帰ろうかしら』

和也『いいよ、大丈夫。母さんたちはゆっくり旅行してきなよ、中々行けないんだからさ』

お母さん『でも本当に二人だけで大丈夫なの？仕事だってあるでしょ．．．？』

和也『大丈夫だよ、メンバーも助けてくれてるから』

お母さん『そう．．．みんなにお礼言っておいてね？』

和也『分かったよ、母さんたちは楽しんできて？』

お母さん『分かったわ、ごめんね？』

和也『謝んないでよ(笑)じゃあね、』

それだけ言って俺は電話を切った
母さん達には無理して欲しくない
俺らのことでなかなか旅行も行けてなかったし
こんな時くらい羽を伸ばしてほしい
Aのことは俺に．．．
いや、俺だけじゃ不安だからメンバーにも世話になるけどさ
いい男、五人で守るんだから安心してよ
いい男って自分で言うのもあれだけどさ

そうだよ、俺が守ってやらなきゃ
一人で不安なAを守ってやらなきゃ
一人じゃないよ兄ちゃんたちがついてる
俺は頼りないけど、他の4人は頼れるから
悲しみは永遠じゃない