お兄ちゃんと私 (ページ39)

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やってはいけないことーあなたside ページ39

神谷『Aちゃん！大丈夫、大丈夫だから』
私はおにぃの姿を見てパニックになった
すぐに神谷先生が私を抱きしめてくれて．．．

『せん、せ．．．どう、しよ。私、やっちゃ、いけないこと、した．．．』
身体の力が抜けてく、どうしよう．．．
おにぃに花瓶投げちゃった
おにぃの頭からたくさん血が出てた．．．
なんで？やっちゃダメなことってわかってたよ？
なのになんで私の手は動いちゃったの？
なんでおにぃに投げちゃったの？
おにぃはアイドルなのに身体が一番なのに
知ってるのに、涙が溢れて止まらないよ
なんで、なんで．．．

神谷『Aちゃん、大丈夫。大丈夫だよ。お兄ちゃんちょっと頭切っただけだから、Aちゃんもビックリしちゃったね』

『せんせ、私がおにぃに．．．花瓶．．．』

神谷『先生たちが花瓶おいて置いたのがダメだったね。とりあえずベッド戻ろうか。立てる？』
神谷先生が私を支えてベッドまで運んでくれた
足に力が入らないさっきのことが頭から離れない

神谷先生は私が投げたカサブランカも
おにぃに投げて割れた花瓶も
きれいに片づけてくれた
もちろん血だまりにになった床も

その日の夜
先生がおにぃは出血はあったけど切れただけで縫ったりはしてないから安心してって教えに来てくれた
でも正直おにぃにどんな顔で会えばいいのかがわからない
きっとおにぃ怒ってる
私のことなんて嫌いになっちゃってる
だって花瓶投げちゃったんだもん
おにぃを傷付けちゃったんだもん
こんな妹最低だよ

本当は嬉しかったおにぃに会えて
おにぃの後ろ姿ですぐにおにぃだってわかったもん
本当は会いたくて会いたくて
抱きしめて頭撫でて欲しくって
でも心が意地悪して．．．
お花も本当は嬉しかったんだよ？
ありがとうって言いたかった
ねぇおにぃ
なんで私がカサブランカがお花で一番好きか知ってる？

おにぃは忘れちゃったかな...
おにぃが初めて私に買ってくれたお花だからだよ
まだ小さかったけどちゃんと覚えてる
私が保育園から持って帰ってきたお花が枯れちゃって
わんわん泣いたんだよね
そしたらおにぃが私の小さな手を握って
近くのお花屋さんまで連れてってくれて
そこで好きなお花選びな？兄ちゃんが買ってやる、だからもう泣くなって．．．
その時私が選んだのがカサブランカだった
だからおにぃがその花を持ってきてくれて嬉しかったんだ
本当は投げるつもりなんてなかったの
ごめんなさい