2話 ページ39
早く立ち去ろうと、急いで言った。
｢あの、翔さん。店長はどこにいらっしゃいますか？｣
｢智君？ 探してるの？｣
私が頷いたら、リビングから和也君がニヤニヤしながら声を張り上げて言った。
｢夜這いに行くんだってー｣
ぎょっとする翔さん。
｢えっ、夜這い!? 智君に!?｣
私は大慌てで首を横に振った。
｢違います違います！ ご仏壇に手をあわさせて貰おうかと思って｣
｢仏壇･･････｣
｢店長の奥様の。･･････みんなのお母さんに、お邪魔させて貰いますって言いに。･･････先にお風呂に入っちゃってごめんなさい。お風呂の中で気がついて、慌てて出て来たんです｣
翔さんは言葉をつまらせていた。
みんなも。
気まずげな顔に見える･････。
･･････私、言ってはいけなことを言ったのかな。
お母さんのことは触れないほうが良かった？
不安になりかけたら、翔さんの手が上がって、私の横髪に触れた。
驚いて固まって、されるがままになってしまう。
｢･･････早く出て来たの？ だから髪が濡れてるんだ？｣
触れた髪の一筋を、翔さんは私の耳にそっとかけた。
｢この季節とはいえ、ちゃんと乾かさないと風邪引くよ？｣
見上げた翔さんの瞳はとても優しかった。
穏やかで、慈愛に満ちていて、そのまま胸に寄り添いたくなるような甘さが滲んでいて私は思わず唾を飲み込んだ。
一瞬だけ触れられた耳が熱を持って、ずっと熱かった。
翔さん。どうしてそんな顔をしているの･･････？
ふと、頭上に影がさしたと思ったら、いつの間にか雅紀君がすぐそばに来ていた。
ちょっと困ったような顔をしている。
雅紀君が困った顔をすると、私まで困ってしまう。
どうしたの？雅紀君。
雅紀君は言いにくそうに言った。
｢･･･････あのね、実は仏壇ってないんだよね｣
｢そうなの!?｣
｢だから気持ちだけ貰っておくね。ね、翔ちゃん｣
翔さんはそれにしっかりと頷いた。
｢ごめん、そういうことだから。親父には俺から言っておくから、今日はもう寝な？ 疲れたでしょ？｣
そっか、ないんだ･････。
プライベートなことに触れちゃったかな。気を悪くしてないならいいんだけど。
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ao(プロフ) - えむさん» えむ様いつも応援ありがとうございます！癒やしと萌はいついかなる時でも重要ですよね！あればあるほど嬉しいもの。大野家のみなさんに是非癒されて下さいね。楽しみながら頑張ってまーす。 (2019年12月19日 21時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - なおさん» なお様こんばんは。もしやタンポポ色のあのお方のご担当？私もかき乱されているので尚更のことと拝察致します。癒やしと萌をお届け出来るように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年12月19日 21時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - aoさん、おはようございます！やっぱりaoさんのお話を読むと暖かくなれます。次回の更新も楽しみに待っています(*´∇｀*) (2019年12月18日 10時) (レス) id: bd8350da83 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - なんだか最近は自担に心をかき乱される事が多いのでaoさんのお話で癒される毎日です。いつも楽しみにしています！ (2019年12月18日 10時) (レス) id: 19cc532da8 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 萌和*さん» 萌和*様おはようございます。萌えにニヤニヤとだらしない顔をして作っている私に、紡ぐ言葉だなんて綺麗な表現を頂戴できて、凄く凄く嬉しいです。マイペースで頑張らせて貰いますね。ありがとうございます〜。 (2019年12月14日 6時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年11月26日 8時
