7 大野家 12/15 ページ33
思い通りに行かない学生生活や、恋人岳の浮気や、流されて生きるしかできない自分の情けなさにうちひしがれているところへ、このスペースだけは守ろうと思い始めていたパン屋さんのアルバイトで失敗をしてしまい、何もかもにがっかりして思わず店長の前で大号泣してしまったその日。
たまたま通り掛かったと言ってやってきた雅紀君が私をマンションまで送ってくれた。
･･････けれど、道中消防車が何台も私たちを追い越して行き、間もなくたどり着いた自分のマンションが炎をあげて燃えているのを見た時、私はこの世の終わりだと思った。
火元は私の隣の部屋で、私がマンションに着いてから、1時間後に鎮火した。
私は放水で窓ガラスが割られている自分の部屋を見上げて呆然とした。
とてもじゃないけれど寝れないし、マンションに住む住人全員に一時退去が求められた。
詳細は追って連絡するって。
雅紀君はとりあえずうちにおいでって言ってくれたけれど、迷惑はかけられないと、岳に電話をした私。
･･････でも、岳自身は出なかった。
出たのは若い女性で、卯論げに突きつけられたその言葉は。
｢はい。もしもし？ ･･････誰？ あなた･････岳の何？ 岳、今バスルームにいるわよ。･･････残念でした｣
私は呆然としたけど、すぐに我に返った。目の前の惨状が現実に戻してくれる。
考えるのは･･････今はやめておこうと思った。
実家に電話するのは･････躊躇った。夜遅いというのもある。
今の自分に、他に頼れる相手は誰もいなかった。
すると、岳に電話をする私を気遣って離れた場所にいてくれた雅紀君が戻ってきて、店長を呼んだからって言った。
その時、私はどんな顔をしていたんだろう。
雅紀君は私の顔を見ると、優しく笑って言ってくれた。
｢うちにおいで｣
微笑んでる。
瞳が凄く優しいの。
私は泣きたくなった。もう、心の中では泣いていた。
｢雅紀君･･････｣
｢ね？ うちにおいで？ 親父も了解してくれたし。とりあえずでいいから。後のことはうちで考えればいいよ。立入禁止が解除されたらまた戻ってきて中を確認しよう？ 一緒に見てあげるからさ｣
｢･･････どうしてそんなに優しくなれるの？｣
私は信じられない思いで雅紀君を見つめて言った。
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ao(プロフ) - えむさん» えむ様いつも応援ありがとうございます！癒やしと萌はいついかなる時でも重要ですよね！あればあるほど嬉しいもの。大野家のみなさんに是非癒されて下さいね。楽しみながら頑張ってまーす。 (2019年12月19日 21時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - なおさん» なお様こんばんは。もしやタンポポ色のあのお方のご担当？私もかき乱されているので尚更のことと拝察致します。癒やしと萌をお届け出来るように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年12月19日 21時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - aoさん、おはようございます！やっぱりaoさんのお話を読むと暖かくなれます。次回の更新も楽しみに待っています(*´∇｀*) (2019年12月18日 10時) (レス) id: bd8350da83 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - なんだか最近は自担に心をかき乱される事が多いのでaoさんのお話で癒される毎日です。いつも楽しみにしています！ (2019年12月18日 10時) (レス) id: 19cc532da8 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 萌和*さん» 萌和*様おはようございます。萌えにニヤニヤとだらしない顔をして作っている私に、紡ぐ言葉だなんて綺麗な表現を頂戴できて、凄く凄く嬉しいです。マイペースで頑張らせて貰いますね。ありがとうございます〜。 (2019年12月14日 6時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年11月26日 8時
