28 深夜１時 ページ28
5月度の勤務表が出来上がって主任に渡したら、大きく頷いてくれた。
｢相変わらず勤務表の上がりが早いですね。しかも絶妙な内容だし。みんな、他の病棟に自慢してますよ。うちはスケジュールの発表が早いから予定を入れやすいって｣
私はまだ新米の師長だから、若いし貫禄はない。そこで統率を取ろうと思ったら、現場の声が分かる立場を生かして、みんなが求めるものを提供してあげるのが一番いいと、そこを心掛けて仕事をしている。
みんなが無駄だと思っている、毎月、毎週の個々の目標設定の文言も、文章提出ではなく標語みたいにして作らせて毎回私がナースステーションの内側に貼付けている。その方がみんなと共有できるし目に付きやすい。
私の目標レベルもシンプルだ。患者の皆さんを自分の家族だと思って看護すること。その一つだけ。それに沿って仕事をしてくれるなら細かいことは言わない。先輩の師長から緩いわねぇなんて嫌味を言われることがあっても、私には皆さんのような知恵や知識がまだありませんからって逃げている。ひよっこなんで勘弁して下さいって。
現場の負担がなくなるようにいろいろ考えてやっている私の毎日だけど、裏では多分、看護師達に揶揄されてるんだろうなーとは思いつつ、みんな表向きは協力的にやってくれてるから、仕事は楽しい。
師長になって夜勤は減った。夜勤があっても、直接患者さんのお世話をすることもなく、当直室でもしものトラブルの対処のために待機しているだけ。私は毎回書類仕事を持ち込んで、これ幸いとこの機会に片付けている。
深夜1時を回って、眠気がやってきたなと感じて珈琲を入れようと立ち上がったら、扉がノックされて、返事をしたら翔君が顔を出してきた。
｢よっ｣
｢櫻井先生。当直ですか？｣
｢そう。･･･････ちょっといいかな？｣
｢どうぞ？｣
とは言ってもこんなところを見られるわけにはいかないから、翔君には仮眠ベッドのあるパーテーションの裏に入って貰う。
｢珈琲でいい？｣
｢ありがとう｣
にっこり笑ってベッドに腰掛ける翔君は、相変わらず理知的な眼差しをしている。学生時代はこの眼差しに憧れたものだった。
翔君との交際期間は3年間。付き合って2年は順調だった。でも卒業と同時に勤務先が別れて、後の1年間は遠距離と多忙さに耐えたんだけど、結局負けて別れを選んだ。
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ao(プロフ) - あゆねさん» あゆね様ありがとうございます！私も羨ましいです。こんな元彼がいたらいい思い出作れそうです。頑張ります。感謝です。当分 (2018年11月15日 14時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
あゆね - このお話がとても好きで、毎日読んでいます！主人公ちゃんがほんとに羨ましいですね(笑)これからもaoさんのペースでがんばってください！応援してます！ (2018年11月12日 0時) (レス) id: 1048fe7101 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様、読んでいただけて感謝です。二人に挟まれて羨ましい限りです。今後もご期待下さいませ！ (2018年11月11日 7時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
ユミ(プロフ) - 今日も続きが読めて嬉しいです！翔くん出てきたー！と思ったらかなりグイグイでキャー！です。智ってば寝てる場合じゃないのにー！とニタニタしておりますよ（笑） (2018年11月10日 20時) (レス) id: 5a2a163833 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様コメントありがとうございます〜！新作も萌えを追求していますので、是非ご一緒にときめいて下さい。気に入ってくださるといいのですが。ありがとうございます！ (2018年11月8日 20時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2018年11月1日 14時
