20 あっちこっち ページ20
びっくりしてその手を離そうとしたけど、力が強くて離せない。
｢ちょっと、だめでしょ？｣
｢そっちの理由は知らねぇし｣
｢そっちって、こっち？ どうして？ 私はそっちのために言ってるのに｣
｢あっちこっちそっちって、どっち？ 意味わかんないけど？｣
｢･･････すみませんね｣
智よりよっぽどまともなこと言ってるつもりなのに。
握られた手が気持ち良くて、言葉が尻すぼみになる。
悔しい。
もうすぐマンションに着く。
｢今度Aんち行ってもいい？｣
息をのんだ。
｢それはさすがにダメでしょ？｣
｢なんで｣
｢だって･･････｣
小百合さんがいるくせに。
･････それともただ遊びに来るだけ？私が意識しすぎてるの？でもさっきあんなキスをしたから、部屋に来たらそういうことになるって、普通思うでしょ？
智って遊び人になっちゃったの？
･･････それとも私の気持ちが早々にばれちゃってるんだろうか。だからこんなに積極的なの？
｢昔はそんなにぐいぐい来る人じゃなかったじゃない｣
｢･･････自分でも驚いてる｣
低い声に反応して思わず顔を上げたけど、一瞬で後悔した。
見るんじゃなかった。
暗い室内でも綺麗に輝く智の瞳。吸い込まれそうなほどに美しかった。多分今、引き寄せられたらまた簡単にキスしてしまう。何をされても抵抗しないだろう自分を想像して歯がみした。
どれだけ惹かれてるの、私。
･･････気づきたくなかったのに。
智は自嘲気味に言った。
｢･････二度と後悔したくないから。多分必死なんだよね｣
｢後悔･･････？｣
聞き返したら、フッと微笑まれた。ドキッとしてしまうような、大人の笑み。
｢もうすぐ家なんじゃない？ いいの？｣
俺に場所教えちゃって。
そう聞こえた気がして胸が苦しくなった。
私は運転手さんを見た。
家に着く前にここで下ろしてくださいって言わないといけないのに、言葉が出て来ない。
あと一分もすれば自宅だ。
｢フフ、困ってる｣
楽しそうに笑う智を横目で睨んで、私はため息をついてシートにもたれた。
｢私の嫌がることは絶対にしなかった昔の智を信じることにする｣
智の唇が尖った。
｢ひでぇ｣
｢どっちがよ｣
揺さぶるだけ揺さぶっておいて。
なんだかもう丸裸にされた気分よ？
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ao(プロフ) - あゆねさん» あゆね様ありがとうございます！私も羨ましいです。こんな元彼がいたらいい思い出作れそうです。頑張ります。感謝です。当分 (2018年11月15日 14時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
あゆね - このお話がとても好きで、毎日読んでいます！主人公ちゃんがほんとに羨ましいですね(笑)これからもaoさんのペースでがんばってください！応援してます！ (2018年11月12日 0時) (レス) id: 1048fe7101 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様、読んでいただけて感謝です。二人に挟まれて羨ましい限りです。今後もご期待下さいませ！ (2018年11月11日 7時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
ユミ(プロフ) - 今日も続きが読めて嬉しいです！翔くん出てきたー！と思ったらかなりグイグイでキャー！です。智ってば寝てる場合じゃないのにー！とニタニタしておりますよ（笑） (2018年11月10日 20時) (レス) id: 5a2a163833 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様コメントありがとうございます〜！新作も萌えを追求していますので、是非ご一緒にときめいて下さい。気に入ってくださるといいのですが。ありがとうございます！ (2018年11月8日 20時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2018年11月1日 14時
