15 あの頃 ページ15
でも高校二年生の秋に、小百合さんのお母さんが重い病で入院して以降、家も隣で家族ぐるみの付き合いをしていた智は、小百合さんを支えるようになった。
この時、周囲は私と智を別れさせる絶好の機会だと捉えていた。みんなが、私といるべきではなく、小百合さんを支えるべきだと口々に智に進言した。全員、小百合さんの気持ちを知っていたから。小百合さんは小さい頃からずっと、智を愛していたのだ。それは転校してきた私だけが知らないことだった。
お母さんの病で憔悴していく小百合さんを支えられるのはその時智しかいなかった。
そのうち二人の距離がどんどん縮まって行き、周囲は私を非難するようになった。早く別れればいいのにって。智にしがみついて、迷惑な女だって。空気読めないの？って、嫌がらせもたくさん受けるようになった。それはそうだ。突然やって来て、誰もが認めるヒロインを押しのけて学校の人気者と付き合い始めた私は、空気を読まない鬱陶しい奴以外の何者でもなかったのだろう。
でも私は簡単には離れなかった。誰に何を言われても、智が私を必要としてくれるのならそばにい続けようと決めて、どんな嫌がらせを受けても彼女の座にしがみついて、結局付き合ったのは一年半近く。高校三年生の一学期までだった。
智にしがみつき続ける姿はすっぽんみたいな私だったけど、智がやがて小百合さんのことを意識し始めて、私と小百合さんとの間で板挟みになっていることに気づくと、すぐに私から別れを告げた。他に好きな人が出来たと言って。当たり前だけど、智は引き止めなかった。
ほどなくして、二人は付き合い初めて、私はそれを見届けてから再び父の都合で転校した。
ちょうどよく転校の話がでたわけではない。まだ智の気持ちが自分にあると思っていた頃にその話は出ていて、でも離れたくなくて、親を説得して誰にも内緒で一人暮らしをしていた私。別れてから、家族の元に戻った。
そこから死に物狂いで勉強した。今度は誰にも非難されない自分にならなければと一念発起して。尊敬される仕事がいいと考えて、看護師を選んだ。
小学生の時から両親の仕事の都合で転校ばかりしてきた私は腰を据えて勉強などしたことがなく、大学入試を受けると決めてからはもう転校は嫌だと、おばあちゃんの家に居候して勉強に励む毎日。
･･････そして今に至る。
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ao(プロフ) - あゆねさん» あゆね様ありがとうございます！私も羨ましいです。こんな元彼がいたらいい思い出作れそうです。頑張ります。感謝です。当分 (2018年11月15日 14時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
あゆね - このお話がとても好きで、毎日読んでいます！主人公ちゃんがほんとに羨ましいですね(笑)これからもaoさんのペースでがんばってください！応援してます！ (2018年11月12日 0時) (レス) id: 1048fe7101 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様、読んでいただけて感謝です。二人に挟まれて羨ましい限りです。今後もご期待下さいませ！ (2018年11月11日 7時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
ユミ(プロフ) - 今日も続きが読めて嬉しいです！翔くん出てきたー！と思ったらかなりグイグイでキャー！です。智ってば寝てる場合じゃないのにー！とニタニタしておりますよ（笑） (2018年11月10日 20時) (レス) id: 5a2a163833 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様コメントありがとうございます〜！新作も萌えを追求していますので、是非ご一緒にときめいて下さい。気に入ってくださるといいのですが。ありがとうございます！ (2018年11月8日 20時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2018年11月1日 14時
