7話 ページ7
｢･･････本当はあの店、俺が継げればよかったんだろうけど、生憎俺は別の夢を持っちゃったしね。親父からは、冗談でも継いで欲しいなんて一言も言われなかったけど、だからこそ、本当は継いで貰えたらって思ってたんじゃないかって、そのこと考えたら苦しくて｣
翔君は自嘲気味に笑った。
｢だからって、借金してまでAちゃんに店を背負わせようとは思ってないよ。俺はAちゃんの身内でも彼氏でも、旦那さんでもないから責任負えないし。Aちゃんが夜逃げしても助けられない｣
きっぱりという翔君。
商売の厳しさを教えてくれようとしているのが分かって、私は背筋を伸ばした。
｢あ･･････｣
｢どうしたの？｣
その時、おーちゃんが言ってくれた言葉を思い出した。
『マジだよ？ パン売ってる喫茶店とか面白そう』
同時にふわっと広がった未来の映像に、私はトキメキを覚えた。
｢一生の決断になるかもしれないことだから、すぐに返事をしなくてもいいけど、急いだ方がいいよ。いつ他人のものになってもおかしくないから。･････考えてみる？｣
私は躊躇わずに頷いた。
すると翔君は噛み締めるように小さく何度か頷いて、最後に分かったって大きく頷いた。
私は結局買い物をせずに家に帰った。
急にお金が大事に思えてきて、おいそれと使えない。元から散財する方じゃなくて、貯金通帳を見てはほくそ笑む性格だったけど。
やってみたい。
それが素直な感想だった。
でも怖い。
それも心からの感情で、この恐さは多分、店を経営するということの大変さがまるで分からないことから来るんだろうと思った私は、大学の図書館で本を借りて経営についてのことを読みあさった。
学生じゃなくても、働いてる職員もＩＤカードで自由に入れる図書館で助かった。
それから数日、私は仕事終わりで図書館に通い詰め、木曜日の夜に翔君のお父さんを訪ねた。
マスターは既に翔君から話を聞いてくれていて、私が本気なんだったら協力は惜しまないと言ってくれて、その言葉が嬉しくて涙が出た。
けれど、いつまでも元気なわけじゃないから、いつ一人になったとしても、惑わず、自分の足でしっかり経営する覚悟を持って望みなさいと言われ、力強く頷いた。頷いたことで、私の意思は固まった。
喫茶店を経営したい。
それはムクムクと大きくなって、いてもたってもいられない程になった。
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ao(プロフ) - 765proharukavaiさん» 765proharukavai様はじめまして。コメントありがとうございます。ラブラブ具合はいかがでしょうか。お楽しみ頂けてたら嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします！ (2018年9月6日 8時) (
レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - あいさん» あい様ありがとうございます！ぎこちなさが残る二人、うれしはずかしで、いい時期ですよね。慣れるとかなく、このままの二人でお送りできればなぁと思います。よろしくお願いいたします！ (2018年9月6日 8時) (レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - はるさん» はる様こんにちはー。ラブラブな二人、お楽しみいただけてますか？これからもよろしくお願いいたします！ (2018年9月6日 8時) (レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
765proharukavai(プロフ) - 初めてコメントをさせて頂いています。いつも楽しみにして読ませて頂いております。純粋でほのぼのとしたふたりの雰囲気が、なんだかほっこりとしてとっても和みます！これからのラブラブ具合が楽しみです!!次の更新を楽しみに待ってまーす。 (2018年9月5日 16時) (レス) id: 42941b0f76 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - お話も現実も台風一過で幸せ気分です。まだぎこちなさが残る微妙な距離感の二人が可愛らしいですねー☆ (2018年9月5日 12時) (レス) id: cdabb1149e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年8月28日 15時
