いとおしいね、

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心臓が煩く鳴っているが、なんとか平然を装って待ち合わせ場所へ行く。

腕時計で時間を確認したところ、約束の時間までまだ三十分はある。会いたい気持ちを全面に出しすぎて足まで速まってしまったらしい。こればっかりは仕方ない。だって、早く会いたいんだから。


胸に手を当てて呼吸を整え、心臓を落ち着かせていると、｢あれ？｣という声が横から聞こえてきた。その声は聞き覚えがあって、とても愛しい響きだ。

声のした方を向くと、会いたくてたまらなかった可愛い弟が片手を振りながら｢久しぶり〜｣と言って、私に歩み寄ってきていた。



｢会いたすぎて早く来ちゃった。｣

｢ウッ…私もデス……｣

｢え、なに。どしたの？｣

｢久しぶりに会う弟の可愛さを噛み締めてる……｣

｢いや、噛み締めすぎだから。口痛くするよ。｣



気持ち的にも物理的にも噛み締めてます…。だって！愛してやまない弟が！目の前で笑ってるんだもん！！可愛いの極みッ！！


尊さのあまり顔を覆っていた私の手を取って繋いだ太志は、｢一日楽しもうね、姉さん｣と言う。呼吸が止まり、思考が停止する。

鼻血・失神・病院送りどころか、一周回って冷静になった私は太志の手を握り返した。



｢任せて。土地だろうが星だろうが全部買うから。｣

｢エッ…｣

｢太志、どこに行きたい？何が欲しい？なんでも姉に言って。｣

｢あ、俺そっちなんだ？エスコートされる側なんだ？？｣



こんなに可愛い弟をエスコートしないで、他に誰をエスコートしろと？？？









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