いとおしいね、

姉の隣は俺で固定なんだけど ページ30

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代表の合宿中、練習終わりに休憩スペースで皆と飲み物を飲みながら話していた時だった。

缶ジュースと共にテーブルに置いていたスマホが音を鳴らして光った。視線を落とし、手に取る。母からメッセージが届いたことを知らせる通知だったようだ。母から送られてくるなんて珍しいな。


そうしてトーク画面を開くと同時に、ガタンッと音を立てて椅子から勢いよく立ち上がる。目はスマホを見たまま。

向かいに座っていた同期の壱青と祐希が吃驚して肩を上げるのが少しだけ視界に入った。周りにいた皆もこっちを向いている。



｢え、なに？なんかあった？｣

｢…太志？大丈夫？｣



心配するような声が聞こえてくるけど、スっと右から左に抜けていく。応えられる余裕もないし、気力もなかった。

ギリギリと、スマホを握る手に力が入る。きっと眉間に皺を寄せて、険しい顔をしているだろう。


母から送られてきたのはたった一枚の写真だ。それも、姉の手と男らしき人間の手が繋がれている写真。

これは姉の手だ。間違いない。だって、俺が以前誕生日にプレゼントしたブレスレットが手首につけられている。

じゃあ、俺の姉と手を繋いでる男は…？



｢…誰だよ、｣



いつもより低い、地を這うような声が喉の奥から出る。
すっかり、ここが休憩スペースで皆がいることも頭から抜け落ちていた。



｢…えっ？その声どこから出してんの……？｣

｢太志のあんな声、初めて聞いたんだけど……｣

｢いや、怖いって……｣

｢子供が見たら泣く顔してんぞ、あいつ………｣









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