喰べないからそばに居て。

青鬼と人間―５― ページ7

リビングのソファに乱暴に降ろされる。
ようやく解放されたから、やっとマトモな酸素が吸える。

でも、油断しちゃダメだ。なんとか、逃げなきゃ……足が痛いけど。
青鬼は物陰から顔だけを出して、私を見ている。
………何をしたいんだろう。喰うならさっさと喰った方が気が楽なのに。


「―――、――、―、―――。」
また、口を動かす。
青鬼は話す事ができないのかしら？



突然、青鬼がリビングを出ていく。
「……？？」
これは…チャンスなのでは？
体を起こし、痛む足を引きずりながら外へ出ようとしたら――――。


「――――人間！」
さっき、青鬼が出て行った扉から人が出てきた。
青い髪、青いセーター、青いズボン、そして、青い肌。靴を履いてない足も真っ青。

こんなに、青いのは…少し予測ができてしまう。
「………青鬼、かしら？」
「！！自分、のこと、わかって、くれた！
　うれしい、よ。ありがと、う、人間！！」
パァァッ。と笑顔になって、私をキツく抱きしめる。
まって、青鬼って喋れたっけ？

「あぁ……こえ、を、だせる、のが、しあわせ。」
私よりも背の高い青鬼の声。抱きしめられて、頭の上から聞こえる。




……い、いや。まって、まって！
これは、ダメよ！喰べられる、体勢になってる！

「や…やめなさい！」
「いや、だ！」
「私、が…！窒息する……――――――ぐふっ。」
「人間？人間……？

　あ……人間、しんじゃ、やだぁぁぁ！！」

腕がダラリと落ちた。

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