洗車雨 黄 ページ28
side 黄
緑「照、雨、」
黄「そうだな。」
捨てられた子犬のようなしゅんとした表情を浮かべる阿部は、窓の外を見てため息をついた。
緑「明日、天の川出るかなぁ。」
黄「いや、俺に言われても。」
あなた、気象予報士でしょ?っていうのは、なんかさらに落ち込んじゃいそうな気がしたから、言わなかった。
緑「七夕の前日の雨ってさ、洗車雨って言うんだって。」
黄「へぇ、何で?」
急に出てきた豆知識に乗ってやれば、心なしか元気を取り戻した気がした。
さっきまで窓の外の風景を残念そうに眺めていたその目は、俺の姿をばっちり捉えて可愛く上目遣い。
緑「彦星さんが織姫さんに会うために、牛車を洗った水が雨になったって言われてるらしいよ。」
黄「へぇ、そうなんだ。じゃあ、明日会えるんじゃない?」
緑「それは分かんないよ。準備しても会えないことだってあるし。ねぇ?」
じとっと訴えるような目に、自分が過去にやらかしたデート放棄事件を思い出して、苦笑いした。
そんな俺を見た阿部はへにゃっと笑って、もう許したけどね。と言った。
その言葉を聞いて安心した俺は、また窓の外へ目を移した。
黄「明日は、晴れるといいな。」
緑「うん。…あ、照、短冊書こうよ!」
さっきまでのしんみり残念そうな雰囲気から一変、水を得た魚のように元気になった。
短冊なんて家にねぇよ。と言おうとしたら、どこから出したのか分からない、綺麗に長方形な紙を渡された。
黄「いつの間に、」
緑「んー?昨日ね、作った。綺麗に切るの、頑張った!」
褒めて!というような目で見てくるから、すごいじゃん。と頭を撫でた。
えへへ、と満足そうな顔をしてから、短冊に願い事を書き出した阿部。
黄「なんて書いたの?」
緑「教えなぁい、」
お互い書き終わって、笹につるす代わりにカーテンのレールに結びつけた。
阿部は、書いた面が外に向くようにしたかったらしいが、うまくはいかずにこちら側へ。
その時、見えてしまった願い。
『照とメンバーが、ずっと幸せでいられますように。』
全く、メンバーと恋人想い過ぎるなぁ、うちの彼女は。ひとつくらい、自分の名前入れたって、怒られやしないのに。
まぁ、俺も人のことは言えないかもしれない。
だって、
『阿部とメンバーが、いつまでも笑顔でいられますように。』
って、書いたし。
阿部の分は俺が願って、俺の分は阿部が願った。だからこれでOK。
くるくる回っている周りの人のことが書かれた短冊を見ながら、思った。
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葡萄 - 雪男のお姫様のパスワードおしえてください (2022年2月23日 21時) (レス) id: 02f8958579 (このIDを非表示/違反報告)
青緑(プロフ) - airiさん» 『リクエストについて』にも書かせていただきましたが、ただいまリクエスト受付を停止しております。ですから、せっかくいただいたリクエストですが、お断りさせていただきます。これからも頑張りますので、応援のほどよろしくお願いします。 (2021年8月13日 17時) (レス) id: 1ed3f7c2fe (このIDを非表示/違反報告)
airi(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく読ませてもらってます!リクエストなんですけど、前の、兄弟に愛されすぎて困ってますって作品の続編って書いてもらうことは出来ますか? (2021年8月13日 9時) (レス) id: 496098c2f3 (このIDを非表示/違反報告)
青緑(プロフ) - ことねさん» それでしたら、一度作者のボードまで来ていただけるとありがたいです。お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。 (2021年8月7日 21時) (レス) id: 1ed3f7c2fe (このIDを非表示/違反報告)
ことね(プロフ) - コメント失礼します。パート位置から読みたいのでパスワード教えていただきたてきたいて゛すヒントは読んだのですが難しい方よくわからないです、、 (2021年8月7日 3時) (レス) id: 23425c663f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青緑 | 作成日時:2021年5月30日 0時