再会 ページ2
まお「Aにはすぐ彼氏できると思ってたわ」
A「私もそう思ってた」
高校2年の夏から約一年間付き合っていたアサヒに振られはや2年、大学生という名の人生の夏休みに一人も彼氏ができたことはなかった。
別れを告げられた次の日は一日中自分の部屋に籠もりきり、何も食べることができなかった。
ただスマホでいつもは見ないような馬鹿げた動画を見、推しを眺め自分が壊れないように必死だった。
多分依存していたんだと思う。アサヒは顔も良くて運動もできる、いつも周りに人がいるいわゆる人気者だった。そんなアサヒに恋をして猛アプローチをかけ、やっとの思いでアサヒと両思いになることができたのだ。正直アサヒは常にモテる。彼女がいると知っていながら繋がろうとしてくる他校やクラスの女子、アサヒが女の子と話している場面を見るだけで嫉妬と不安で胸が押しつぶされそうだった。
それでも、そんなアサヒと付き合えていること、そして周りの人がお似合いだと言ってくれるこんな環境が好きでもあった。
だからこの日常を手放したくなかった。
バレンタインもクリスマスも誕生日も周りのカップルと同じように過ごした。デートだってたくさんしたし二人で浴衣を着て花火大会にも行った。手作りのお菓子だってあげたしカップルウォッチも学校でずっとつけていた。
アサヒは私のものって知らしめるように。
そんな日々を負担に思ったのか、アサヒは前触れもなく突然別れを切り出した。
理由を聞いても曖昧な答えしか帰ってこなかったが、『別れたい』という意思だけは固いことが、そしてその意志を崩す隙は一ミリもないのだということだけは感じられた。
だから私は、「わかった」こう返すしかできなかった。
アサヒに振られてから今日までの2年間、結果的にアサヒを忘れられたことは一度もなかったし、気になる人ができたと思えば夢にアサヒが出てきて振り出しに戻る日々だった。
A「そういえば同窓会の服、決めた?」
まお「全く、帰省してから買えばいいかなって思ってるけど」
A「だよね、私もそうする」
そういえば高校の同窓会まで後3週間ほどしかないみたいだ。
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cooky(プロフ) - とてもおもしろいです!続き楽しみにしております! (2022年4月15日 23時) (レス) @page23 id: 55ebdcbd41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひくん | 作成日時:2022年3月7日 0時