蝕め、呪詛【d！】

No,22 ページ23

rb「は？…何で、何で知ってんの？」

ミシェルがD国出身でスパイだということは、


コネシマ、ゾム、ロボロ、Aの4人しか知らない筈。

それをグルッペンが知っているというのは、どういうことなのか。
ロボロは唖然とした表情で、グルッペンに問う。

gr「逆にロボロ、お前は知らなかったのか？」

rb「え？？」

gr「ミシェルはD国の元幹部だぞ？」

さっきから何を言っているのだろう、この男は。


その言いぶりだと、ミシェルがスパイだと知っていて
こんなことをしているということになる。


しかし、グルッペンはそのまま予想している斜めを超えた発言を続ける。



gr「もうD国は存在していない」

rb「は、はぁ？」

つい、腑抜けた返し方をしてしまう。


gr「D国は一年前にS国との戦争によって滅んでいる」


gr「その生き残りであるミシェルを引き取っただけだ」



目の前の男は、本気でその話をしているのだろうか。


D国は今も存在している上、S国との戦争はD国の勝利で収めている。
ミシェルがD国のスパイだということも、間違いない。

あの機械弄りが得意なロボロだ。


この世界の情報はこの国の中で一番理解している。



rb「一体、どんな呪いやねん…」


記憶まで書き換えてしまうというのか。

呪いというものは、本当に恐ろしい。


rb「お前の言いたい事は理解できへんけど、分かった」

gr「あぁ？何言ってるんだ？？」

rb「とりま、俺行くから」


急いで戻らないと行けないことを思い出したロボロは、
足早に扉の方へと方向転換し、進み出す。





gr「なぁ、ロボロ」

グルッペンの一声で、その足は止まる。
そして、表情でグルッペンに問う。


gr「お前は、何故Aの味方をする？」


rb「…は、？」

意味が分からないというような表情で、
グルッペンを目を細めて見つめる。

gr「Aよりもミシェルの方が優秀なんやぞ？書類の仕事だって碌にやらないじゃないか」


gr「最近妙な動きが多いしな、スパイ容疑まで出ている」


グルッペンの一言一言で、ロボロの雰囲気が変化していく。

怒りに満ち溢れた気を纏って。

gr「アイツなんて、」









gr「俺の国の仲間じゃない」



rb「死ね」



ドアノブに掛かっていたロボロの手がいつの間にか弓を引いていた。
綺麗にグルッペンの右肩の皮を取り込んで壁に刺さった。


gr「…ｯ！」

rb「もう一度、言うてみぃ…」

雑面がひらっと揺れ、ロボロの顔が少し見える。



rb「次は、心臓を射抜く」


ピンク色の瞳には、純粋な涙が浮かんでいた。

No,23→←No,21

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す