philosophical 3 ページ5
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今朝意識を取り戻したAの病室で、
中堂もニュースを見ていた。
1つのスマホを、2人で覗き込んで。
宍『火事をキッカケに、
事件が明るみに出て逃げ切れないと思ったんでしょうか。
実は、私はですね、出頭前の高瀬と接触し、
直に話を聞く事に成功してます』
宍戸の言い方はどこか得意げだった。
矢「X…キセノンガスか…」
系「2年前の、」
矢「はい。
ご遺族から許可を得て解剖しても分からなかったんです。
キセノンガスは体を開けたら飛んでしまう…、
原因が今分かるなんて」
2年前に見つけた彼女も、
間違いなく高瀬によって希望を失った人…。
系「お前はこいつを知っていたのか」
矢「8年前…目をつけられたんです。
偽名のことも、姉の関係者も、
全部知られていました」
系「…そうか」
矢「私は、姉を守りきれなかった。
高瀬不動産に、家を探しに行くって…、
夕希姉、嬉しそうに電話してきました…
っ、それなのに、」
Aは右手の人差し指で首元のリングを撫でる。
動いた拍子に、彼女の檸檬の匂いが中堂の鼻をくすぐった。
矢「すみません、系さんが1番辛いのに」
系「…身近な人間を失った辛さに、
1番も2番もないだろう」
中堂はAの火傷した左手に、
そっと自身の右手を重ねる。
系「悪いが、あの約束は守れそうにない。
俺は、犯人をこの手で苦しめる」
矢「そうですか」
系「…何も言わないのか」
矢「言ったはずです。
あなたには汚れて欲しくないっていう気持ちだけ、
分かっていて下さい、って。
夕希姉が望みが何かなんて、私達には一生分かりません。
だから…さっき言ったのは私の願いです」
Aは困ったように眉を下げて微笑んだ。
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理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています! (8月21日 20時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 私も続きが気になります(><)面白くて一気読みしました!くっつくの楽しみにしてます!! (2018年9月12日 21時) (レス) id: ccca1c1412 (このIDを非表示/違反報告)
チコ(プロフ) - Yuriさん» ありがとうございます!はい、只今下書き中です!ただ、まだ時間がかかると思われます…すみませんm(_ _)m (2018年9月10日 6時) (レス) id: 28285d67bb (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいていました!主人公ちゃんが帰ってきた時の話を読みたいです!!ご検討いただけますか? (2018年9月9日 21時) (レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
チコ(プロフ) - いつさん» コメントありがとうございます!ありますよね、突然。分かります(笑) 1話1話がまぁまぁ長いので一気読みは大変だったと思いますが…嬉しいです、ありがとうございました! (2018年9月9日 6時) (レス) id: 28285d67bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チコ | 作成日時:2018年9月6日 19時