魔王の一人娘になりまして。【オリジナル】

かえれない ページ33

ユリカみたいに。



　能力がある？



　今まで、そんなの感じなかったけど。



「ユリカのと違って常時見える能力ってわけじゃあないからね。君の能力は『一日に三回だけ瞬間移動ができる』能力だよ」




　瞬間移動？



「あれー。超能力系の漫画とか読んだことない？ 一瞬で移動できるんだよ。瞬間移動、と言って場所を思い浮かべればいい。三回以外にも制限があって、行ったことがある場所じゃないとダメだし、ボクの支配下……この魔族の国と人間の国の中でしか使えないけどね」



　なんだよ。

　ポンコツだな。

　それじゃ、地球に瞬間移動で帰れないじゃない。



「君はかなりイレギュラーな存在だからね。能力の中でもとびきりいいものを授けたつもりなんだけど……まぁ、どう足掻こうとも君は地球には帰れないよ。この世界を楽しんでね」




　最後に銀の神が私を真面目な顔で見つめた。


　ーー帰れない。



　夢からゆっくりと現実へ戻されて、私は朝陽の照らすベッドの上で体を起こした。



　帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない。




　嫌だ。なんで私だけ。



　私のことが嫌いなパパと一緒にずっと暮らせっていうの。



　ダメだ。我慢して。今は泣くときじゃない。
　後でいくらでも泣ける。だから、だからーー。



「レティシア様、おはようございます。朝食のお時間でございます」



　そうだ。着替えは自分でやるって言ったからメイドは来ないんだ。
　はやく、きがえないと。

　あれ、わたし。なにをしてたんだっけ。



「レティシア様？ いらっしゃいますか？ 返事をしてください」



　かんがえないと。
　がんばらないと。いっぱい、ほんをよんで、べんきょうして。

　ちゅうがっこうに、いかないと。



「レティシア様！ 申し訳ありません、入ります！」



　ガチャ、と音がして扉が開く。


　アルドが入ってきた。私を見ると、空色の目を見開いて、なぜか泣きそうな顔をする。



「レティシア様……気づいておられないようですが」




　なに、に？



「泣いていらっしゃいます」

【お知らせ】→←夢

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す