魔王の一人娘になりまして。【オリジナル】

親子水入らず ページ29

パーティーの最後。


　宰相さんに呼ばれたらしく、パパが顔を出した。




　お世辞にも祝っている顔ではなかったけど、私になんと、プレゼントをくれた。



「ルビー宮の庭園に足をつけることを許す」



　そうして投げてよこされたのは、アンティーク調の金の鍵。
　チェーンがついていて、ペンダントのようにできる仕様だった。



「ありがとう存じます」




　ルビー宮って、パパが寝泊まりしてるとこでしょ。
　行きたくないな。


　けど、なぜ庭園に行くのに鍵がいるんだろ。


　建物が庭園にあったりするのかな。




　考えるのは後にして、とりあえずお礼を言う。




「ついてこい」



　……え？ 今から？
　パーティーも終盤だし、抜けても良いとは思うけど。



　戸惑っていると、アルドから囁かれた。



「親子水入らずでお楽しみください」



　……えっ。



　カモン、ウォーター！
　二人っきりで話すのってすんごい緊張するんだよ！


　嫌だったけど、逆らうことはできない。
　逆らったら何されるかわかんないし。


　すごすごとついていくと、エメラルド宮についた。




　私にマントをかけて、寒くないようにしてくれたあと、ママのいる部屋のドアを開ける。


　マント、ありがと……。

　そんな風に他人を気遣えるなんて知らなかったよ。



「今日は、お前の母親の死んだ日だ」



　そ、そうらしい、ですね。




　ビクビクしつつも、ママに視線をうつす。
　やっぱり美人だな。銀の髪がスゴく綺麗。



　たぶん、パパの隣に立っていたら、お似合いの夫婦に見えたんだろう。


　……会いたかったな。


　会って、地球の話をしたかった。





「お前は、なんで自分が五年間眠っていたと思う？」



　……え。

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