魔王の一人娘になりまして。【オリジナル】

誕生日 ページ27

つまり、今のところは行き止まりなのである。





　希望は人間の国。
　あそこならばまだ文献が残っているかもしれない。


　ただ、問題は私が人間たちが喉笛をかき切らんと探している魔族の王の娘だったこと。



　人間の国に行けるわけがない。


　……そんな感じで今日も今日とで勉学に励もうとしていたのだが。



　今日はアルドが部屋に来ない。
　代わりにやって来たメイドにドレスアップさせられた。


　いつももまあドレスではあるんだけど、今日のはそんなものじゃない。



　私、五歳だぞ？
　五歳が飾り立てて誰得なんだと思ってたら、着替えを確認しに来たアルドに頭を垂れられた。



「六歳のお誕生日おめでとうございます」



　六歳になっていたらしい。
　いや、六歳でも誰得なんだろう。




　国をあげてのパーティーのようだった。



　アルドと一緒に馬車に乗って、パレードのように町を走る。
　護衛もいたけど、ルイは見習いだからか見当たらなかった。



　歓声と紙吹雪がとび、拍手と笑顔が止まずに見える。



　大音量の音楽に祝われ、城に帰れば宰相さんからも祝われた。




　たくさんのケーキにプレゼント、それこそ夢のような時間だった。




「陛下はご自分の生誕を祝われない。民にとっても初めての催しだし、なにより王女殿下は人気者だ
。陛下と聖女の実子ですから」



　恐ろしくさえある幸せぶりに、アルドが空気を読まず解説をいれる。
　いつもの陛下自慢だ。いいんだけど。



「そういえばパ……お父様は？」




　私がアルドと宰相さんに聞いたとき、会場がしん、と静かになった。



　え？ 私何か間違えた？

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