魔王の一人娘になりまして。【オリジナル】

勉強と読書 ページ26

あの日から、再び部屋でみっちりアルドに教えられる日々が始まった。



　サボりたいけど、アルドが網を張っている。
　え、なんで罠の種類を知っているのか、だって？


　……ご想像にお任せします。


　それはともかく、勉強に余裕が出てくると、アルドがいつも何をしているのか気にすることができるうようになった。




　アルドは私に教えながら仕事をしているのだ。

　書類をさくさく片付けている。
　そこには文字がびっしり並んでいて、アルドはそれを猛スピードで仕分けるのだ。

　時には算盤のようなものを弾いている。



　そうそう、算盤といえば、私の得意教科は算数ってことになっている。

　前の世界と同じく十進法だったおかげで、コツを掴むのも簡単だった。



　アルドと同じレベルの暗算ができるので、宰相さんから「王女殿下は算数の才能がおありなのですね」と褒められたのである。えへん。


　六歳と同レベルで嬉しいのかって？
　嬉しいさ。
　だってアルドだもの。


　とはいえ、この世界は小難しい数学ほど学問は進んでいない。




　中学の内容までくらいが応用編だったので、あっという間にコンプリート。アルドと学問に打ち込む時間が大幅に短縮されたらしい。休み増えないかな。



　長い戦争の前はもっと学問が進んでいたのかもしれないが、大半の書物が焼けてしまったらしい。



　そう。書物が焼けているのだ。



　私も、アルドに頼んで休日に書庫を訪ねてみたが、銀の神や銀髪についてはたいした収穫がなかった。



　銀髪については『他の世界から来た救世主』とか『不思議な能力を持つ』『百年に一度現れる』というのばかりで、肝心なことは書かれていなかった。


　聖書や歴史書を読み漁ったんだけどなぁ。

　

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