第39話 ページ42
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彼女からは、鈴の音のような…優しくて柔らかくてか細くて…少し特殊な音が聴こえる。
そう、普通の人とは違う…――。
「Aちゃん!」
夜。いつもなら帰ってきてもおかしくないはずの時間だったのに、一向に帰ってこないAちゃんが心配で、気が気じゃなかった。
「なぁ、炭治郎、伊之助。Aちゃん遅くね?」
「そうだな…今日はどこか遠くなのかもしれないな」
「え?何でそうなるの?怪我してるかもとか考えようよ?」
「じゃあどっかでくたばってんじゃねーの」
「てめぇは黙ってろ!!」
意味わかんねえ!とキレる伊之助に俺もキレていれば、遠くで聞こえてくる声。
…あれ、この声…。
「(Aちゃん…だよな?しかも近くだ、すぐ近く…。もしかして今帰ってきたのかな…)」
「…嫌な匂いがする」
「え?」
そう言う炭治郎に、一気に不安に駆られた。
「行くぞ!炭治郎!伊之助!Aちゃんが危ない!」
「え!?」
「はあ!?なんで俺まで…」
「いいから!!」
と、刀を持ち2人と共に門扉へ向かう。
「Aちゃんの声がしたんだよ!早く行くぞ!」
「待ってくれ善逸!もし外で何か起きてるなら慎重に行かないと…」
「猪突猛進!!」
扉を開けようとした時だった。
…なんだ、この音、なんか…。
ドォオン!
「「!!」」
「…本当に強くなったんだね…けど…」
『げほっ…』
「Aーーっ!」
「身を滅ぼすようなやり方は、私は好まないなぁ」
『かはっ…』
色の白い彼女から零れる真っ赤なそれ。
華奢な身体を貫く細い刃。
「何をするんだ!お前!!」
「ああ、お目にかかれて光栄だよ、竈門炭治郎くん。それに我妻善逸くん、嘴平伊之助くん」
「てめぇ!Aを離しやがれ!」
ふふふ、と笑う男は、不気味だった。
…コイツ、なんだ、人間の音がするのに…なんか違う…。
「(聴いたことある音が…)」
「彼女、この後意識失うけど気にしないで。睡眠薬なだけだから。でも止血はしてあげて欲しい」
「待て!」
「じゃあね、Aをよろしく」
「おいこら!」
男はAちゃんから刀を抜けば、その勢いで彼女を放り投げる。
「Aちゃん!」
咄嗟に抱きとめ、ひたすら名前を呼ぶも、げほっと血を吐いたきり、返事がない。
炭治郎と伊之助は刀を抜いて男を追おうとするも、強い風が吹いた途端、男は消えた。
「一体なんなんだ…」
「と、とにかくAちゃんの傷を塞がないと!」
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ヘル - WW (2021年5月22日 0時) (レス) id: 8a8dc3fa13 (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 第45話で絶対たまたまだけど名前出て一人で喜びの舞踊ってた→見られてた→\(^o^)/ (2020年7月20日 0時) (レス) id: 0b06ea8062 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - せりりんさん» コメントありがとうございます!嬉しいです(*^ ^*)更新頑張ります!! (2019年6月24日 18時) (レス) id: 17eabedad2 (このIDを非表示/違反報告)
せりりん(プロフ) - 感動しました!炭治郎流石って感じです! (2019年6月24日 17時) (レス) id: 60b1ee46a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりりん(プロフ) - 凄いてんかいっすね! (2019年6月24日 17時) (レス) id: 60b1ee46a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年6月12日 0時