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末っ子が見た景色 ページ25

ヌナはそのまま地面に倒れ込んで後ろにいたメンバーも「モナ!」「ヌナ!」と叫んでパニックになったけど、隣を歩いていたクプスヒョンがすぐにヌナの手を掴んで身体を引き上げた。

自分が着ていたニットのカーディガンをヌナの頭に被せて腰を支えてそのまま目の前のバンに一緒に乗り込んで自分と横にいたウォヌヒョンが乗ったのを確認してすぐに扉を閉めた。



「どこぶつけた?」

カーディガンを頭から取ってそのまま肩にかけた時、ヌナの顔眉間に少し皺が寄っていた。


『いや、大丈夫だよ』

「良いから。このままウォヌ達降ろしたら病院行こう。手で身体庇ったろ」

隣に座るヒョンがそっと右手を取ると掌に引っ掻き傷があり血が滲んでいた。


「ヌナ、怪我してるじゃないですか」


『こんなのすぐ治るよ』


あくまで平気だよ、と笑って手を振るヌナの隣で「ヒョン、宿舎で2人降ろしたらそのまま病院向かってください。異常が無いか診てもらいます」とマネージャーに指示するヒョン。


『オッパ』

「痛むところは?足首とかは平気か?」


ヌナのことは無視して会話を続けるヒョンに観念したのか『……ちょっと、手首が』と控えめに言った。

ヒョンの手が薄い陶器を触るようにそっとヌナの手を握って


「大丈夫。」

ただそれだけ言って、ずっと隣に座ってた。


ヌナは、自分の痛みや弱さを隠す人だ。特に、弟達には。

正直他のメンバーのことやグループのことで会社に色々言われることがあったり頭を悩ませることもあるクプスヒョンの、頼れる場所でありたいとヌナは思ってる。


そう、感じるし実際インタビューで答えてたこともあった。


そのヌナが、時々フッと息を抜けるのもまた付き合いが長いクプスヒョンなんだろうな。

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作者名:RIN | 作成日時:2022年11月19日 10時

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