まさかの ページ9
猫「Aちゃん…何でここに…」
「やっほー猫ちゃん。ちょっと色々あってさ。もしかして征司郎の指示で先にこっちに来たの?」
猫「うん。準備してろって」
通りで征司郎の姿が見えない訳だ。
猫「気になることだらけだけど、詳しいことは後で聞かせて貰う。執刀するんでしょ?」
「うん。佐伯教授がいらっしゃるまでにある程度済ませておこうと思って」
猫「なら手伝う」
猫ちゃんは素早く手を洗って私と一緒に第一オペ室へと足を踏み入れた。
看1「ね、猫田さん…!と…えっと…そちらの方は…?」
猫「天才外科医」
「こら猫ちゃん。誤解を生むから天才とか言わない」
猫「事実です」
私に着せたガウンの紐を結びながら、しれーっととんでもない事を口走る。
天才?そんなわけがない。
私なんかが天才だったら征司郎と佐伯教授はどうなんのよ。
天才より上ってなに。神?悪魔?仏?
あ、待って、佐伯教授は神だし、征司郎は悪魔だわ。合ってるわ。
猫「…北見先生。準備終わりましたけど」
気づいたら滅菌の手袋まで付け終わってる。
私がもんもんと考え事してる間に猫ちゃんが準備を手早く済ませてくれたみたいだ。
患者の前まで行くと、私はその場に居る数名の看護師と医師に視線を向けた。
「佐伯教授がいらっしゃるまで、ここは私が引き受けます」
医「引き受けるって…どこの誰かも知らない人にそんなこと任せられる訳が無いでしょう!」
「それではあなたが執刀なさいますか」
医「っ……それは…」
「出来ないんですか?あなた医者でしょう?腹部大動脈瘤の破裂によって血圧は低下中。このまま教授が来るまで待つだけだと、この患者亡くなってしまうかも知れませんよ」
医「……」
見た目の年齢と準備中の焦り方からして、この人はまだそこまで外科医としての経験が無いと見える。
猫「時間がない。早く決断してください」
猫ちゃんが更に畳み掛けると医者は悔しそうに顔を歪めて頷いた。
医「分かりました…。お願い、します」
「はい。それでは、執刀は私が行いますので他の方々はサポートをお願いします」
「「はい!」」
「猫ちゃん器機出し宜しくね」
猫「はい」
その場にいる全員の顔を見て、しっかりと目を合わせると私は小さく息を吸った。
「それではこれより、腹部大動脈瘤の破裂に対する人工血管置換を行います」
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霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» ご指摘頂けて本当に助かりました。ありがとうございます!そう言って頂けると本当に嬉しいです♪更新頑張りますね! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 霜月さん» いえいえ、わざわざありがとうございます!このお話とても好きなので、これからも頑張ってください! (2018年6月30日 14時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» 誤字のご指摘ありがとうございます!修正致しました。 (2018年6月30日 13時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 「掛かっきた電話」ではなく、「掛かってきた電話」ではないでしょうか(・・?) (2018年6月30日 8時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - たぷたぷさん» コメントありがとうございます。佐伯教授、素敵ですよね♪機会が作れたら書きますね!これからも宜しくお願い致します。 (2018年6月28日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜月 | 作成日時:2018年6月9日 2時