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似たもの同士 ページ47

木「まるで渡海先生のようなことを仰るんですね」


 「アイツとは似た者同士の幼馴染ですから」




木下さんは仕方の無いような諦めたような表情を浮かべている。




木「二人揃って悪魔ですね」


 「そうですか?私よりよっぽど征司郎の方が悪魔ですよ」




主にやり方が。やり方が悪魔。

私は別に研修医に無理な執刀させたりしないし。
失敗した医者に退職金とか要求しないし。

ただ、些細なことで人を試す。

それだけ。





木「今日のところはこれで失礼させて頂きます。この後も仕事があるので」


 「えぇ、はい。また会いましょうね」


木「はい。また今度」




腕時計で時間を確認した木下さんは、真っ直ぐな廊下を進んでいく。

彼女の後ろ姿を少し眺めてから、私は壁から背を漸く離して山本さんの病室へ入った。




山「まさか…彼女に助けてもらうなんて」




心臓部を服の上から抑えながら点滴を見つめる山本さん。
どうやら、木下さんがペニシリンの投与を止めてくれたことを知ったらしい。




 「以前、貴女は人の敵は人だと仰いましたね」


山「北見先生……」


 「確かに、人の敵は人かも知れません。でも、人の味方も人なんです」




笑いかければ、彼女は目を丸くした。




 「さて、美和ちゃん」


花「…はい!」


 「点滴の交換宜しくね。私はこの投薬ミスを佐伯教授に報告してくるから」




これは紛うこと無き医療過誤。
私はそれを、見過ごし、許す訳にはいかない。

それなりの対処を教授にお願いしなくては。




 「では、私はこれで失礼致します」




後の事は三人に任せ、このまま回診に行って、その後報告を上げよう。
やることが増えたが、つべこべ言ってられない。

病室を出て、真っ白な道を進んで行く。
数歩程歩いたところで後ろから呼び止める声が。

立ち止まって顔と、少しだけ身体を後ろに向ける。
呼び止めたのは、世良くんだった。




 「どうかした?」


世「1つお伺いしてもいいですか」


 「いいよ。何かな?」


世「先生は、報告を上げに行くんですよね。ってことは誰が指示して、誰が投与したかも知っているんですか」




世良くんの真剣な瞳が私を見つめている。
私は白衣のポケットに両手を突っ込んで身体をしっかりと世良くんの方へ向けた。




 「うん、知ってるよ。なんせ、その指示する場面も、投与する場面も見ていたからね」




途端に世良くんの表情が崩れる。
それは怒りか。それとも、悲しみか。

腕の良い医者は→←同じように



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霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» ご指摘頂けて本当に助かりました。ありがとうございます!そう言って頂けると本当に嬉しいです♪更新頑張りますね! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 霜月さん» いえいえ、わざわざありがとうございます!このお話とても好きなので、これからも頑張ってください! (2018年6月30日 14時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» 誤字のご指摘ありがとうございます!修正致しました。 (2018年6月30日 13時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 「掛かっきた電話」ではなく、「掛かってきた電話」ではないでしょうか(・・?) (2018年6月30日 8時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - たぷたぷさん» コメントありがとうございます。佐伯教授、素敵ですよね♪機会が作れたら書きますね!これからも宜しくお願い致します。 (2018年6月28日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜月 | 作成日時:2018年6月9日 2時

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