同じように ページ46
≪Your side≫
点滴の管へと手を伸ばした木下さんを見て、私はゆっくりと息を吐き出した。
うん。良かった。止めてくれた。
彼女はちゃんと、人を救いたいという想いを持っている。
これなら、大丈夫。
廊下の奥からバタバタと慌ただしい足音が聞こえてきた。
何事だと、そちらを向けば走ってくる世良くん、美和ちゃん、権の字の姿が見えた。
世「あれ!?北見先生!?」
「やぁやぁ爽やか青年くん。そんなに慌ててどうしたんだい」
花「ペニシリン!ペニシリンです!」
ごめん、美和ちゃん。
事情を知らない人には、その単語だけじゃあ伝わんないと思うよ。
山「何してるの!?」
突然中から聞こえてきた山本さんの焦った声。
目が覚めちゃったのか。
これじゃあ木下さんが点滴止めてるみたいに見えちゃうか。
いや、実際止めてるんだけど、そういうことではなくてですね…。
事情を説明しようと口を開いたと同時に、私の前を通り過ぎて病室に駆け込む世良くん達。
世「山本さん!大丈夫ですか!!」
花「え?木下さん?」
木下さんは自分の姿を見て驚く三人に、軽く会釈をして入れ替わるように外に出てきた。
彼女によって病室の扉が閉められる。
木「Ӓrztin des Teufels」
木下さんの口から綺麗な発音で飛び出したのは、私には聞き馴染みのある"ドイツ語"。
木「ドイツに居る知り合いの医者から、貴女について聞いた時に真っ先に出てきた言葉です」
「えぇ、そうでしょうね」
木「この言葉の意味が今本当に分かりました。
貴女は医者だけでなく、医療に携わる人をこうやって"救える人"かどうか試して……殺してきたんですね」
やだなぁ、殺すだなんて人聞きの悪い。
「私は只、その人が未来で殺すかもしれなかった患者を救っただけですよ」
"オペ室の悪魔"が、研修医や医者を殺してきたのと同じように。
"救えない人"から患者を救っただけ。
ただ、それだけ。
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霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» ご指摘頂けて本当に助かりました。ありがとうございます!そう言って頂けると本当に嬉しいです♪更新頑張りますね! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 霜月さん» いえいえ、わざわざありがとうございます!このお話とても好きなので、これからも頑張ってください! (2018年6月30日 14時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» 誤字のご指摘ありがとうございます!修正致しました。 (2018年6月30日 13時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 「掛かっきた電話」ではなく、「掛かってきた電話」ではないでしょうか(・・?) (2018年6月30日 8時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - たぷたぷさん» コメントありがとうございます。佐伯教授、素敵ですよね♪機会が作れたら書きますね!これからも宜しくお願い致します。 (2018年6月28日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜月 | 作成日時:2018年6月9日 2時