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許可 ページ42

「許可を頂きに来たんです」


佐「許可?何の許可かね?」




不思議そうに首を傾げられた。
いつも通りの佐伯教授の態度に、混乱していた頭が少し落ち着いてくる。


(教授はいつも通り。私が勝手に混乱してるだけ。だから、落ち着け。)


心の中で唱えてから、口を開く。




 「彼の、指導医になる許可です」




佐伯教授の目が少し丸くなる。
ちょっと意外だったのかな。

そんなことを考えられるくらいには余裕が出てきた。




佐「君が世良の指導医に?」


 「はい。征司郎の後任がまだ決まっていないと伺っています。私に指導させて頂けないでしょうか」


佐「何故、と聞いても?」




穏やかで優しい2つの瞳。
促されるように話す。




 「彼は…とても優秀な研修医です。このまま指導医を付けないのは勿体無いと思ったので」




私の言葉を聞いて、佐伯教授は少し考えるように目を伏せると、頷いた。




佐「うん、よろしい。君が彼の指導医に付くことを許可しよう」


 「ありがとうございます」




佐伯教授は椅子から立ち上がると、私の前までやって来て片方の手を肩に置いた。




佐「しっかりと指導してやりなさい」


 「はい」


藤「北見先生」




後ろから声が掛かって振り返ると、まだソファの側に立っていた藤原師長が穏やかな笑みを浮かべてこちらを見ていた。




藤「貴女は看護師達からの信頼も厚いわ。宜しく頼みますよ」




師長の言う"看護師"の中には、きっと猫ちゃんも含まれているんだろう。

征司郎が居ない今、猫ちゃんが自分から付いて行こうとしてくれるのは私くらいなものだと、看護師の誰かが言っていたし。




 「ご期待に応えられるよう、頑張ります」




軽く会釈をして、私は二人に見送られながら教授の部屋を去った。

私が、ドイツで何と呼ばれていたのか二人は知っているはずなのに。
それでもああやって期待して貰えるのなら、私なりの行動でそれに応えたい。

今まで見守って下さった二人からの期待だから尚更。



(よし、頑張ろう)



いつか、2人を裏切らなくてはならないとしても。

その時が来るまでは。






まるで親の期待に応えようとする子どもの様に。

在りたいと、思う。







(それくらいは、許されるだろうか)

私のやり方→←聞いてしまった



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霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» ご指摘頂けて本当に助かりました。ありがとうございます!そう言って頂けると本当に嬉しいです♪更新頑張りますね! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 霜月さん» いえいえ、わざわざありがとうございます!このお話とても好きなので、これからも頑張ってください! (2018年6月30日 14時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» 誤字のご指摘ありがとうございます!修正致しました。 (2018年6月30日 13時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 「掛かっきた電話」ではなく、「掛かってきた電話」ではないでしょうか(・・?) (2018年6月30日 8時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - たぷたぷさん» コメントありがとうございます。佐伯教授、素敵ですよね♪機会が作れたら書きますね!これからも宜しくお願い致します。 (2018年6月28日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜月 | 作成日時:2018年6月9日 2時

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