カエサル ページ26
「え、カエサルの手術にですか?」
征司郎が面倒がってやらない分の回診を世良くんが行っており、人数が多くて大変そうだったから少しだけ私が引き受けることにした。
それ故いつもより長く掛かった午前の回診を漸く終える。
医局に戻ろうと歩いている所で偶々黒崎准教授と遭遇。
今後、国産ダーウィンことカエサルの治験を行う場合、その全てのチームに参加するように言われてしまった。
私がダーウィンについてもある程度の知識をドイツで身に付けて来ているから頼みたい、との事らしい。
それは別に構わないのだが。
「高階先生が参加なさるのに私が必要でしょうか?」
ぶっちゃけカエサルについてなら権の字の方が詳しいと思うんだけど。
あの帝華大が開発してる訳だし。
それに私が扱っていたのはあくまでダーウィン。
日本人用に小型に作られたカエサルとは色々と異なる面も出てくる。
黒「それはそうだが、これは東城大にとっても重要な案件だ。しっかりと信頼できる医師にも関わってもらいたい」
言外に権の字は信用出来ないと言われた気がしたのは私の気のせいでは無いだろう。
確かに東城大からして見れば、権の字は帝華大からやって来た言わば刺客みたいな者で、完全に信頼するのは無理な話かもしれない。
それは分かっているし、実際に私も同じ状況だったら警戒する。
でも権の字を蔑ろにされるのは友人としては気に食わない。
それに、突然海外からやって来た私にだって同じ事が言えるだろう。
佐伯教授が快く迎え入れた相手だからといって私が必ずしもこの東城大に忠実であるとは限らない。
いつ如何なる時に牙を向くか分からない。
それをこの人は全く理解してない。
だから、ここは一つ。
脅しでは無いけれど、それに似たものをこの人に投げかけておこうと思う。
権の字を言外に批判された事に対する厭味もこっそりと込めて。
「分かりました」
黒「そうか。助かる」
「ただ…1つ宜しいでしょうか、黒崎准教授」
黒「何だ」
正面に立つ、私よりも背の高い黒崎准教授を見上げて、しっかりと目を合わせる。
そしてゆっくりと口角を上げた。
「私が悪魔の幼馴染であり、皆さんが警戒なさっている高階の友人であると言うことを、お忘れなきようにお願い致しますよ」
貴方は知らないだろうけど。
私はオペ室の悪魔と同じで、腕のない医者を殺す医者なんです。
774人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» ご指摘頂けて本当に助かりました。ありがとうございます!そう言って頂けると本当に嬉しいです♪更新頑張りますね! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 霜月さん» いえいえ、わざわざありがとうございます!このお話とても好きなので、これからも頑張ってください! (2018年6月30日 14時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» 誤字のご指摘ありがとうございます!修正致しました。 (2018年6月30日 13時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 「掛かっきた電話」ではなく、「掛かってきた電話」ではないでしょうか(・・?) (2018年6月30日 8時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - たぷたぷさん» コメントありがとうございます。佐伯教授、素敵ですよね♪機会が作れたら書きますね!これからも宜しくお願い致します。 (2018年6月28日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:霜月 | 作成日時:2018年6月9日 2時