バレッタ ページ24
私が東城大にやってきて一週間が経った。
患者の引き継ぎや挨拶回りも全て終わり、漸く落ち着いてきている。
事務的な仕事の合間に、征司郎のオペに無理矢理助手として詰め込まれたり、権の字とスナイプについて話したり、研修医の子から色々質問されたりと、結構忙しかった。
特に征司郎は私をオペの度に助手に指名してくるものだから大変で。
征司郎が執刀してるんだから私やる事無くない?居る意味あるの?って聞いたら『無いな』って言われた。
いや、意味分かんないわ。
じゃあ何で呼ぶんだ。
で、結局猫ちゃんに理由を聞いたら『長い間離れてたから、その反動じゃない?』とかこれまたよく分からない答えが帰ってきた。
(流石に疲れたなぁ……)
昨日、半日休みを貰って午後は仮眠室で眠っていたけれどそれだけで疲れが取れるはずも無く。
若干疲れを引きずりながら着替えを済ませ、もう見慣れた廊下を歩いて、早朝で人気の少ない医局の中へ入った。
すると、私のデスクの上に白地に黒い縁、黒い持ち手の小さな紙袋が置いてあるのが目に入る。
不思議に思って紙袋を手に取ったところで、世良くんが挨拶をしながら医局に入ってきた。
世「北見先生。おはようございます」
「おはよう」
そういえば、ここに来てから2日目くらいに世良くんの指導医が征司郎だと聞いた時は思わず吹き出してしまった。
まさかあの征司郎に指導医に就かれるとは。
世良くんもツイていない。
色んな意味で大丈夫なのか心配になったけど、頑張って付いて行っている様だし、外科医としての腕は上がっているらしいから骨は有りそうだ。
そんな世良くんは私が持っている紙袋に興味を示す。
世「それ、どうしたんですか?」
「さっき来たら私のデスクの上にあったの」
世「じゃあ、先生へのプレゼントですかね」
私が渡すと、それを丁寧に受け取る。
そして、紙袋にプリントされている文字を読んで目を丸くした。
世「こ、これ、CHANELじゃないですか!」
「えっ!?…ホントだ!CHANELって超有名なブランドじゃん…」
二人して上げた驚きの声が、まだ人気の無い医局に響く。
何でこんな海外の有名ブランドの物が私のデスクの上に?
互いに顔を見合わせ頷き合うと、私は恐る恐る紙袋を開けて中身を取り出す。
箱が1つ、出てきた。
その箱に掛かっているロゴ入りのリボンを解いて蓋を開くと、中にはブラックカラーでベロア生地の上品なリボンバレッタが入っていた。
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霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» ご指摘頂けて本当に助かりました。ありがとうございます!そう言って頂けると本当に嬉しいです♪更新頑張りますね! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 霜月さん» いえいえ、わざわざありがとうございます!このお話とても好きなので、これからも頑張ってください! (2018年6月30日 14時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» 誤字のご指摘ありがとうございます!修正致しました。 (2018年6月30日 13時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 「掛かっきた電話」ではなく、「掛かってきた電話」ではないでしょうか(・・?) (2018年6月30日 8時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - たぷたぷさん» コメントありがとうございます。佐伯教授、素敵ですよね♪機会が作れたら書きますね!これからも宜しくお願い致します。 (2018年6月28日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜月 | 作成日時:2018年6月9日 2時