僕らの世界5 (ページ44)

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彩花ちゃんとサキちゃん・1 ページ44

なんで、いつも平気でいるんだろう。

つまんなそうな顔して、毎日来る神河咲が私ー新海彩花ーには分からない。

いつも、窓の外を見てボーッとしている。かと思えば、ちゃんと授業を聞いているような素振りを見せたりもする。
弁当ま1人で食べて、移動教室も1人。誰とも話さずに1日を終えているんじゃないかと思う。

それでも、毎日学校に来る。皆勤賞。私には、そんな神河咲が何を考えているのか、全く分からない。友達とバカ騒ぎしてこそ楽しいのに。

「サキちゃん、ちょっといい？」
ある日の昼休み、私たちの教室にやって来たショージが、神河咲を呼んだ。しかも、下の名前で。
「いいよ」
私はこの時、初めて神河咲の声を聞いたかもしれない。こんな声なんだ、とちょっと意外に思った。同時に、2人がこれから何をするのか気になった。

私が2人を追跡すると、生徒会室に辿り着いた。
「海斗とはどうなの、最近？」
私は、とっさに過去のデータを引っ張り出す。海斗…確か、今は不登校。ショージと仲が良い。神河咲とは、どういう関係なんだろう？
「あんまり会えてないな。何かあったの？」
「いや、俺の率直な疑問なんだけど…訊いても怒らない？」
訊いたら怒られそうな質問ってこと？ショージ、何する気？？
「…？うん」
「サキちゃんって、海斗のこと好き？」
「うん」
「ちなみにそれって…like？love？」
「loveかな」
それ訊く？！てか即答？！
「そうか。なんか海斗がね、心配してたんだよ。サキちゃんが海斗のこと好きじゃないかもって」
「なんで？そんなことないよ」
「ならいいんだけど…所で、これ海斗に言って大丈夫？」
「…いいよ」
神河咲は、顔を赤くして頷いた。なるほど、そういう感じなのか。ショージと神河咲じゃなくて、海斗と神河咲。私はひとり、納得した。
「あ…でも、遠回しに言ってくれるとありがたいな」
「オッケー。遠回しに、ね」
「うん」
「じゃ、戻ろっか」

よく考えてみれば、この会話を盗み聞きしたことが、神河咲と関わる最初のきっかけだったのかもしれない。