僕らの世界5 (ページ42)

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絶滅危惧部、魚園の誓いページ42

「なあ、関」
ふと先輩たちのことを思い出して、僕ー瀬戸航平ーは関に話を持ち出した。
「どうした？」
水槽の熱帯魚を観察していた関が振り向く。
関は、この半年くらいで急に背が伸びた。ちょっと前まで同じくらいの目線だったはずなのに、気付いたら一気に10cm近く突き離された。僕は170cm以上は欲しいと思うけど、まだあと12cmある。
「生徒会の先輩がね、文芸部なんだけど」
「へえ」
「先輩たちが引退したら部員がいなくなるから、廃部になるんだって」
「そうか」
僕が話す間も、関は熱帯魚を見ながらノートに何か記録している。
「それでさ、先輩が言ってたんだけど、次に潰れるのは海洋学部かもしれないって」
「…えっ？！」
関はノートから顔を上げ、鬼のような形相でこちらを見てきた。
「どういうことだよ」
「海洋学部も、もし来年部員が入らなかったら潰れちゃうから。僕ら、絶滅危惧部なんだよ」
「生徒会の権限でどうにかならないのかよ！
関は真っ赤になった、でも青ざめたような顔で訊く。関のこんな表情を見るのは、リコーダーの音を限界までひたすら伸ばすという、なかなかバカなチャレンジをした時以来だ。
「できるかもしれないけど…魚とか、荷物とか、誰も管理できないから厳しい」
「確かに、ロナウドやジェシーたちを放っておくわけにはいかない」
ロナウドとジェシーというのは、関が付けた魚の名前だ。関いわく、他にもポーラ、ウィル、アレキサンダー、エレンなどなど、個性豊かな仲間が揃っているそうだ。僕はさすがに名前は付けていないし、覚えることも見分けることもできない。関はそういう所に長けているんだ。
「そこでだ。文化祭から、部員募集を始めようと思うんだ。どこの部よりも早く、ここを守ってくれそうな人を探そう」
僕がそう言うと、関は
「もちろんだ」
と頷いた。
「全力で行くぞ！」
「オー！」