僕らの世界5 (ページ37)

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神童・2 ページ37

『もしもし』
よかった、繋がった。多分、この声は寝ぼけてる時の声じゃない。海斗がちゃんと起きていたことに、私ー青葉真帆ーは安堵した。
さっき、ショージが私に「海斗、今起きてると思う？」と訊いてきた。分からないからとりあえず電話してみよう、ということで、私が海斗に電話をかけた。
「起きてた？」
『おう』
「ショージがさ、会いたいんだって」
『なんで真帆が？』
「いや、色々あったから。それでさ、今から海斗んち行っていい？」
ショージのことをイチから説明するのが面倒だったから、スルーして本題に入った。
『別にいいけど』
「それじゃ、私とショージで行くから待ってて」
『オッケー』
電話を切ってOKサインを出すと、ショージはガッツポーズをした。
「何かあるの？」
と訊くと、
「後で話すよ」
と誤魔化された。

「いらっしゃい」
玄関で出迎えてくれた海斗は、なぜかダボダボのTシャツを着ていた。黒地に白で浮世絵みたいな柄が描かれている。
「お邪魔します」
海斗の部屋は、前に来た時とレイアウトが全然違った。机とベッドの位置が逆になっていたり、本棚が増えていたりしていて、結構様変わりしていた。
「模様変えしたの？」
「そう、父さんが模様変えしたらどうかって言ったから」
「へー、いいカンジだね」
海斗は、どやどや、と言って部屋を見せてくれた。
「あ、そうだ。海斗、ちょっとストップ」
「はいはい」
ピタッと止まった海斗の目元を見る。これは、私が海斗に会うたびにやっている、隈チェックだ。今日は、うっすら黒くなっている。ちょっと前は真っ黒だったから、それよりはいい。
「オッケー、ちょっと薄くなってる」
「そう？毎日見てると分かんねえや」
ケラケラと笑う海斗の表情は、以前よりも穏やかに見えた。
「んで？今日はどしたの？」
「海斗、この前のテストの結果知ってるか？」
ショージが話を切り出す。
「今日取りに行ってきたけど、まだ見てない」
海斗は、机の上に置かれていたファイルをよこしてきた。
「俺、ネタバレしていい？」
しびれを切らしたショージが、ファイルをパラパラめくる。
「いいよ、つか一緒に見る？俺、結構自信あるんだよね」
自慢げに言う海斗の表情を見れば見るほど、私も結果が気になってきた。でも、ショージはなかなかファイルを開けようとしない。私と海斗が「早く！」と声を上げたところで、やっとカウントを始めた。
「開けるぞ、5、4、3、2、1…」