僕らの世界5 (ページ26)

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決戦　第二関門ページ26

「姉さん、鍵開けて！」
「OK！」
花笑は、会議室のドアの鍵を急いで開けた。外にいる天満を保護するためだ。天満を招き入れると、またすぐに鍵を閉めた。
「お疲れさま」
「あぁー…」
天満はうなだれた。
「ダメだった、やっぱり…」
泣きそうな目でそう言うと、床に倒れ込んだ。
「お疲れ、よくやったな」
雄一は優しい口調で天満を励ました。花笑は、今まで友達がほとんどいなかった雄一が人を励ましていることに、ひとり感動していた。

「来たな」
「やるか」
恭輔と貴大は、新海の足音を聞いて、頷き合った。
ドアが開く。
新海が入って来る。
貴大に歩み寄り、目の前で睨みつける。新海の方が少し背が高いから、貴大は上から睨まれる形になる。
「待ちましたよ」
「ああ、ちょっと邪魔が入ってな」
そう言いながら、新海は貴大に先制バンチを食らわす。
ところが、貴大はギリギリの距離でそれをかわした。新海のパンチも、貴大の動体視力には敵わないらしい。
「遅いですよ」
貴大が挑発すると、新海はさらに1発、2発と攻撃を繰り出す。しかし、1発も当たらない。
「当たるはずないですよ、そんな遅いの」
身軽に攻撃をかわしながら、挑発を続けてマークを集中させる。恭輔は、隙をついて新海の右手をガッチリ掴む。
「暴力反対です」
「うるせぇ！そんな細い腕じゃ役に立たねえだろ、引っ込んでろ！」
新海は恭輔の手を振りほどき、ついでに1発お見舞いした。しかし、すんでの所で逃げ切った。

これが、貴大が提案した「自衛」だ。
相手の攻撃をひたすらかわし、自分からは一切攻撃しない。「生徒会が暴力を振るった」などと言われないためには、攻撃しなければいい。それが、貴大が考えた「生徒会を守るための最善の方法」だった。
純や凉馬も決して身体能力が低いわけではないが、「目が良い」という条件を加えると、2人は当てはまらない。純は時々眼鏡をかけているし、凉馬も眼鏡こそかけていないが、視力はよくない、と話していた。

貴大の左肩に、新海の拳が当たった。
それを機に、勝負は生徒会の劣勢になっていった。