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求む協力 ページ17

新海の情報は、瞬く間に伝わった。貴大から恭輔と純に、花笑から菜々に、さらに恭輔から海斗に、菜々から咲に、中等部の面々にもその情報が回った。
『もしもし、東海林くん?』
「はい」
その情報は、隼にも伝わろうとしていた。純が電話をかけたのだ。
『ちょっと、力を貸してほしい。星が丘の高等部が大変なことになった』
「はあ」
隼は今いち状況が掴めず、曖昧な返事をした。
『6月10日、新海京也が生徒会室に来る』
「そうなんですか」
どこが大変なんだ、と心の中で思ったが、口にはしなかった。
『過去のしがらみを精算するらしいけど、もしかしたら乱闘になるかもしれない』
「ら、乱闘?」
『ああ、過去にも新海対青葉恭輔で乱闘騒ぎがあったんだ』
青葉恭輔というのは、真帆のいとこで海斗のジョグ仲間だ。隼は衝撃を感じた。
『もし本当にそうなったら、止めに入ってほしい。俺1人じゃどうしようもないだろうから、東海林くんにも応援を頼みたい』
「福島さんがいるじゃないですか」
『いや、多分そいつも乱闘騒ぎに飛び込むから、あんまりアテにできない。頼む、東海林くんの力を借りたい』
そこまで懇願されると、NOと言える男・東海林隼も断れなかった。
「分かりました、10日ですか?」
『そう、ちょっと危険かもしれないけど、止めに入ってくれるとありがたい。よろしく頼む』
「はい」
隼は、胸騒ぎがした。危険な任務というワードに、ときめかないはずがない。スリル満点の任務に緊張しながらも、カッコイイ、と少し思ってしまう。


一方花笑は、弟の雄一にそのことを相談していた。
「私、どうしたらいい?」
「姉さん、今日は何ですか」
このように花笑が雄一に泣きつくのは三浦家ではよく見られる光景だが、雄一はいつもと何かが違うことに気付いていた。花笑がいつもよりパニックになっている。
「貴大くんが危ないの。また喧嘩になるかもしれない」
「そう言えば福島さん、前に顔面やられてましたね」
「そうそう、あの時本当に痛そうで、しばらく貴大くんの顔を見られなかったの。それでね、また同じ人と喧嘩になりそうなの。雄一、どうにか止められない?」
「…いくら何でも、無理だと思う。生徒会が暴力とか、やっぱりダメだし」
雄一は、もともと優しい性格なため、暴力反対の姿勢だった。そして何より、怖かった。
「姉さん、僕たちは大人しくしてよう。下手に動かない。落ち着く。それくらいしか、できないから」
「…雄一、お互いに気を付けよう」
「もちろんです」
今にも泣き出しそうな花笑を安心させるため、雄一は怖さに耐えて頷いた。

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設定タグ:青春 , 学園 , 友情   
作品ジャンル:純文学
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時

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