検索窓
今日:42 hit、昨日:0 hit、合計:2,182 hit

ページ13

「あ、海斗」
「…何か、こうやって会うの久しぶりだな」
海斗は、目で笑った。前よりは顔色がよくなったけど、目元の隈はまだ濃い。それでも、私ー神河咲ーは海斗の仄かに光るような笑顔が見られて安心した。
「珍しいね、こんなオシャレなとこ来るの」
昨日、海斗から「柿沼駅前に最近できたカフェがあるんだけど、一緒に行かない?」とメールがあった。いつもはファミレスだから、こういう所に来るとちょっと緊張する。
「俺も初めて来たんだけど、雰囲気が違うよな。てか、このケーキうまいな」
海斗は、いかにもオシャレな店で出てきそうなケーキを頬張りながら言った。
「紅茶の味がなんか本格的だしね」
私も、ティーカップが可愛いくて、思わずどこのメーカーか調べてしまった。
「…サキ」
海斗が、声のトーンを少し落として囁くみたいに言ってきた。私はどう反応したらいいか分からなくて狼狽えた。
「ずっと言おうと思ってたんだけどさ、色々忙しかったから言えなかったことがあるんだ」
「何?」
「…もし俺が今、サキのことが好きって言ったら?」
「えっ?」
これ、どう返すやつかな?likeならありがとう、loveなら…?
「えっと…」
「あ、サキなりの解釈でいいよ。likeでも、loveでも、なんでも」
なんでも、と言われると、逆に難しい。
「…ありがとう、私も、loveかは分からないけど、海斗のことは好き。絶対嫌いじゃない」
途中から自分が何を言っているのか分からなくなって、「?」がたくさん浮かんだ。
「…そっか」
海斗は、なぜか笑った。紅茶についていたレモンみたいに、爽やかな笑いだった。
「ならよかった。…なんか、サキに隣にいてほしくて。変なこと聞いてごめん」
私は首を横に振った。
「そう言ってくれて嬉しい。私も、海斗の隣にいたい。海斗のためにできることはやりたいし」
「ありがと、これからもよろしくな」
海斗は、全面で笑った。目だけじゃなくて。私は、海斗のこの顔が好き。この顔が見たいから、隣にいたい。
海斗の表情をただ見ていたら、「俺の顔に何かついてる?」と訊かれた。そういう訳じゃないんだけど、と言ったけど、本当のことは言わずにお茶を濁した。

相談→←嬉しい報告



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (13 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:青春 , 学園 , 友情   
作品ジャンル:純文学
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。