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同時刻(鬼灯) ページ47

大量のレントゲン写真やホルマリン漬けの容器に囲まれたウィスティアリアが幸福を味わっているのと同時刻。ルナ・マリアが青白い閃光を炸裂させたのと同時刻。
鬼灯は別の場所にいた。

どろりと溶けた魔法金属が銀の雫となって飛び散った。赤い軌跡がデストロイドを撫でるように動くたび、その箇所がマグマの様に泡立ち、溶解する。
あるものは頭部を、あるものは腹部を、それが触れた箇所からごぽりと液状の金属を溢れさす。
幾つものデストロイドの間を舞うようにして移動する漆黒の人影。ほのかに赤く光るその両腕は、灼熱の温度をまとっていた。着流しの裾をはだけさせながら確実に敵を屠る鬼灯は何度目かもわからない溜息を吐く。

「一体どれだけいるんだ、此奴等は...」

背後から斬りかかってきたカマキリ型のデストロイドの頭部を無造作に撫でて沈黙させ、足元を崩すように砲撃してきたカエル型のデストロイドの胸部を貫き核を握り溶かす。
ぼとぼとと落下した銀の雫は地で冷えて、次々と涙のような形に固まっていた。それを砂と一緒に蹴り飛ばしながら、鬼灯はひたすらにデストロイドに躍りかかる。

「...さて、こういう時はどうするんだったか」

うんざりした様に髪をかき上げた鬼灯は、付着したデストロイドの油で火が付いた左腕を眺めて眉根を寄せる。不思議なことに鬼灯自身の肌や着流しには燃える気配はない。
ほんの少し、鬼灯は脳裏に白衣の主を思い浮かべる。確かウィスティアリアは、こういう時の対処法を話したことがあった。
数秒の思考の後、熊のようなデストロイドを貫いた腕を引き抜き、鬼灯は全身の力を抜く。
ちり、と艶やかな黒髪から火花が散った。

「主曰く──こういう時は三十六計逃げるに如かず、だそうだ」

その言葉を言い終えるが早いか、鬼灯は大量の炎をまき散らしデストロイドの包囲網から脱出する。拡散させた炎は両腕にまとっていた灼熱ほどの高温ではないが、センサーを鈍らせ足止めをする位の威力はある。
大量のデストロイドが追って来る中、鬼灯は校舎の壁を駆け上り赤い火の粉を散らしながら屋上に消えた。


駆動音に震える地面では、銀の雫が砂にまみれている。

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(プロフ) - 終わりました (2017年1月1日 23時) (レス) id: f9682346d9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新します (2017年1月1日 17時) (レス) id: f9682346d9 (このIDを非表示/違反報告)
チェス盤(プロフ) - 更新しましたー (2016年12月23日 13時) (レス) id: e293136629 (このIDを非表示/違反報告)
チェス盤(プロフ) - 更新します (2016年12月23日 13時) (レス) id: e293136629 (このIDを非表示/違反報告)
歌菜子 - 終わりました (2016年12月21日 20時) (レス) id: beed06bc94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:北斗七星 x他9人 | 作者ホームページ:kirito03  
作成日時:2016年10月29日 21時

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