意味が分かると怖い話 (ページ1)

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三つの選択ページ1

今日はエイプリルフールだ。特にすることもなかった僕らは、いつものように僕の部屋に集まると、適当にビールを飲み始めた。今日はエイプリルフールだったので、退屈な僕らはひとつのゲームを思い付いた。
　
「ねぇみんな、今面白いゲーム思いついたんだけど」
　
　
「なに？どういうゲームなの」
　
　
「エイプリルフールだしさ、これから話すことは全部嘘にしない？」
　
　
「いいんじゃない？エイプリルフールにはぴったりだね」
　
　
「じゃあ僕から話すよ。この前の夏にナンパした女が妊娠して、実は今、一児の父なんだ」
　
　
初めて知ったのだが、嘘をついてみろと言われた場合、人は100％の嘘をつくことはできない。僕の場合、夏にナンパはしてないけど、当時の彼女は妊娠したし、一児の父ではないけれど、背中に水子は背負っている。どいつがどんな嘘をついているかは、なかなか見抜けない。そこに少しだけ真実が入っていると尚更楽しい。
　
　
そうやって順番に嘘をついて行き、最後の奴にバトンが回った。
　
　
「僕はみんなみたいに器用に嘘はつけないから、ひとつ作り話をするね」
　
　
「なんだよそれ。趣旨と違うじゃねえか」
　
　
「まあいいから聞いてよ。退屈はさせないからさ」
　
　
そう言って姿勢を正した彼は、一つ咳払いをしてから話を始めた。
　
　
　
朝、僕は目が覚めると何もない白い部屋にいた。
　
どうしてそこにいるのか、どうやってそこまで来たのかは全く覚えていないんだ。
　
ただ、目を覚ましてみたら僕はそこにいた。
　
しばらく呆然としながら、状況を把握できないままでいたんだけど、急に天井のあたりから声が響いた。
　
古いスピーカーだったのかな、ノイズがかった変な声だったよ。
　
【これから進む道は、人生の道であり、人間の業を歩む道。選択と苦悶と決断のみを与える。歩く道は多くしてひとつ、決して矛盾を歩むことなく】
　
で、そこで初めて気付いたんだけど、僕の背中の側にはドアがあったんだ。
　
とりあえず僕はその扉を開けて進んでみることにした。