14カラット ページ49
…
ぴんぽーん。ぴんぽーんー・・。
チャイムの音に目を覚ました。朝だってのに非常識な奴だ。
ぴんぽんぴんぽんぴんぽーーん。
寝癖を撫でつけたり、捲れたＴシャツを直したりしながら
裸足のまま玄関に降りる。
足裏にひんやり、と吸いついてくるタイルは夏の風物詩だ。
ガチャンー・・
「あーよかった、起きてた。おれ隣の部屋の八乙女です。
シュークリーム焼いたんですけど、一緒にどうですか？」
「……何、なんかの遊び？」
ひかるは「もぉ〜、ノリ悪いなぁ」と頬を膨らませながら
お腹を掻いていた俺の手をペちんと叩き、ローテーブルに
白い箱を置いた。
「これ差入れでもらったの。一緒に食べよっ」
「さっすがブロードウェイ、、差入れも豪華だな」
ひかるは事務所が用意した高級マンションをマスコミへの
ダミーに据えて、俺とこの狭い部屋で一緒に暮らしている。
ひかるがベランダに舞い降りたー正しくはよじ登ってきた
あの夜から＿＿。
「あともうひとつ、お土産ー…」
ひかるが後ろから首に抱きついてきて、二、三歩よろけた。
くるりと目の前に回り込んだひかるに見つめられて、また
二、三歩。
「クリスマスの予定、空けれたから」
「……まじで？」
「まじで」
「前後１週間？」
「うんっ」
今をときめく俳優・八乙女光のカラット凱旋公演。
クリスマスにできたら最高だよな、って二人で笑いつつも、
きっと無理だろうと、諦めていた話。
「どんなお話書いてくれるの？」
「……それは貰える額によるな」
ひかるは鼻先をくっつけて、くつくつ、と笑い、それから
焦げつくような目で俺を見つめた。首にまわった腕が熱い。
「じゃあ夜まで好きにしていいってことでどう？」
「……いいね」
ひかると１日中いちゃつけるなんていつぶりだろう。
こてん、と小首を傾げたひかるのシャツに手を入れ、腰や
背中をさすり、薄いベッドに押し倒した。
ぴんぽーーん・・。
「こんな時間に誰だろ？」
ひかるは、さも当たり前みたいにからだを起こそうとして
俺は出なくていい、とシーツに縫いつけた。
ひかるが唾を飲み込み、とくんと上下した小ぶりな喉仏を
包むように吸う。
「ちょっと…ふふっ…焦んなくても逃げないって…」
ひかるは"物語のある"人種。先の読めない脚本。
チャイムが鳴って、ドアが開くと、また想像もしなかった
シーン＿＿その覚悟はできている。
ただ、今はまだ、なめらかな首筋に、ふたりの新しい夢に、
このシーンにすがっていたい。
END.
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しょこる(プロフ) - しろくまさん» ありがとうございます★ダイヤモンドのように硬くて誰にも壊せない絆を描けて満足です^^次のステージにすすんだ２人に幸あれ☆彡 (2020年6月17日 17時) (
レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 完結、おめでとうございます。キュンキュン、ハラハラ、不器用な2人のキラキラ光る恋に魅了されました。ダイヤモンドにも負けない輝きを放つ２人の人生に全力で拍手を送ります！素敵なお話をありがとうございました。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - しろくまさん» ダイヤモンドは綺麗なだけじゃなくて、外から簡単に傷つけることができない硬さも魅力ですからね＊残り数ページ、ふたりのキラキラの行方を見届けてください(-人-) (2020年4月28日 14時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - か弱そうに見えて、その実ダイヤモンドのように硬質な輝きを放つひかちゃんに心奪われます。どうかこの二人がきらめく舞台を続けていけますように…！！ (2020年4月5日 20時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - きょーかさん» こちらこそいつもコメントありがとうございます＊お話も佳境に入ってきたのでどんどん書き進めていきます^^ (2020年3月26日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しょこる
| 作成日時：2019年7月27日 22時
