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…
ひかるの魅力がじわじわ口コミで広がってくれたら、と
そんなつよがりも板についたものなのに。
初日どころか全公演、立ち見までSoldoutになっている。
「やぶコーヒーは？」
「あぁ、サンキュ」
「……むずかしい顔してどうしたの？」
隣に腰をおろしたひかるはミルクたっぷりのコーヒーを
大事そうにすすった。
「いや、チケットが全部売れててさ…」
「うそっ！？やったじゃんっ」
ひかるは身を乗り出し、パソコンにぐっと顔を近づけた。
まるで飛び跳ねているかのように劇場のホームページを
上下に行ったり来たりさせるから画面に酔いそうになる。
「カフェにチラシ置いてもらったのがよかったのかな？
それかSNSの効果かもっ」
振り返ったひかるの無垢な笑顔に、不安の端っこが少し
溶けたような気がした。
ミルクたっぷりのコーヒーを一気に飲み干して、大きく
伸びをする。今を手放しで喜べないのは、不幸なことだ。
「チラシに写ってる子が可愛いからじゃね？」
「え？そうかな？」
ひかるはあざとく照れたふりをして、両手で頬を包んだ。
無機質だった舞台は最初のシーンの世界観をたずさえて
他の誰でもない、主役を待っている。
「ますます練習がんばらないとね」
「……だな、」
照明を一身に受けるひかるを見ていた。
砂糖みたいにジャリジャリとした不安を溶かしてしまう
熱い光のもとで、ひかるがたしかに命を燃やす様を＿＿。
*.+ﾟ
公演初日に、バレンタインを選んだのは俺だ。
チョコレートの代わりに、ひかるに贈りたい＿＿。
もちろん、そういう下心は誰にも内緒で。
ソワソワした街、ソワソワした小劇場、ソワソワ
した舞台袖で、主役ももれなくソワソワしている。
「……やぶっ！」
開演まで２時間を切った。
あわただしく動き回る大道具や照明の間を縫って
黒いインナー姿のひかるが駆け寄ってくる。
ひかるは汗っかきなことを気にしていて、舞台に
あがる直前まで衣装を着ないのだ。
「今日無事に終わったら、、
渡したいものあるから……」
甘い物はそんなに。でも１秒でも早く欲しいと思った。
そして、今までの全部に、「ありがとう」と言いたい。
俺と出会ってくれて。舞台に立ってくれて。
「途中で打ち上げ抜けよっか？」
「……うんっ」
耳元で囁くと、ひかるが嬉しそうにはにかんで、俺も
真似をした。
ひかるがふいに「好きだよ」と言うから、芝居が？と
からかえば、ひかるは少し迷って、どっちもと言った。
芝居がライバルなんて、こんなに誇らしいことはない。
…
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しょこる(プロフ) - しろくまさん» ありがとうございます★ダイヤモンドのように硬くて誰にも壊せない絆を描けて満足です^^次のステージにすすんだ２人に幸あれ☆彡 (2020年6月17日 17時) (
レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 完結、おめでとうございます。キュンキュン、ハラハラ、不器用な2人のキラキラ光る恋に魅了されました。ダイヤモンドにも負けない輝きを放つ２人の人生に全力で拍手を送ります！素敵なお話をありがとうございました。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - しろくまさん» ダイヤモンドは綺麗なだけじゃなくて、外から簡単に傷つけることができない硬さも魅力ですからね＊残り数ページ、ふたりのキラキラの行方を見届けてください(-人-) (2020年4月28日 14時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - か弱そうに見えて、その実ダイヤモンドのように硬質な輝きを放つひかちゃんに心奪われます。どうかこの二人がきらめく舞台を続けていけますように…！！ (2020年4月5日 20時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - きょーかさん» こちらこそいつもコメントありがとうございます＊お話も佳境に入ってきたのでどんどん書き進めていきます^^ (2020年3月26日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しょこる
| 作成日時：2019年7月27日 22時
