５ 落し物 ページ5
よいしょとテーブルをひっくり返し、足を畳もうと横に渡してある棒に足を掛ける。
すると、すぐ脇に何かが落ちているのを見つけた。
・・・誰のだろう。
落し物は有名メーカーの万年筆。
ウン万はする物だ。
新入社員が記念に買ってもらったとか？
こういうのって、ネーム入れたりするよね？
ペンを拾いくるりと回してみれば、ほら、あった。
特徴的なフォントで彫られたローマ字を読む。
え・・櫻井さんのなの？
さっきテーブルに屈んだ時に落としたのかしら。
少し傷もあるから長い間使ってきてるんだろう。
気付いたら探すよね？
手に戻るなら早い方が良いに決まってる。
けど。
あの目立つ人に直接渡しに行くのはちょっと勘弁願いたい。
ここは・・・よし、受付に預けておこう。
あそこなら社内に入る時絶対通るし、確実でしょ。
万年筆はバッグに入れ、途中だった撤収作業をとっとと終わらせると受付に急いだ。
・
「お疲れ様です。
これ、営業部の櫻井さんが講堂の入り口で落としていかれました。
今、入社式に参加されてますので戻ってきたら渡してもらえますか」
ティッシュで包んで輪ゴムで留めた万年筆をカウンターに置くと、受付嬢はサッと立ち上がって手に取り、「私が責任持ってお渡ししておきます」と胸に抱いた。
隣に立つもう一人を見ると、すんごい目をして同僚を見ている。
うん。やっぱりここに持ってきて正解。
私が直接返して、その場面を女性社員に見られた日には血を見るかも。
会社の華である彼女達ならそんなことも無いだろうし。
「ちょっと、アンタ昼早番でしょ。私が渡しておくからこっち寄越してよ」
「嫌です。私が受け取ったんですから、責任持って渡します。
先輩は他の仕事してて大丈夫ですから」
まだ何か小競り合いをしてる彼女達は別にいいや。
どっちが渡したとしても、最終的にちゃんと万年筆が櫻井さんの手に戻ればそれでいいし。
その時はお気楽にそんな風に考えていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1902人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とも(プロフ) - こんにちは。赤い眼の真相？とっても気になります。ってか続きがめちゃくちゃ読みたいです( ^_^ ;) (2020年1月25日 13時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - みやさん» みやさん、こんにちは。大変お待たせしましたm(__)mたったの１話ですが更新いたしました。この後はもう少し更新頻度は上がるかも。お時間ある時にお付き合いいただけたら嬉しいです(^^) (2018年5月12日 13時) (レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 待ってます (2018年4月14日 10時) (レス) id: 31283dda21 (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - みぃこさん» みぃこさん、こんばんは(^^)先程、すくない話数ですが更新してきました！もう少しコンスタントに進めるのが理想なんですけど、なかなか時間が取れません（T_T） (2018年2月26日 23時) (レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - おはようございます☆これからの更新楽しみにしてます(*^^*) (2018年2月14日 9時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青藍
作成日時：2018年1月10日 23時
