４ ギリギリ ページ4
新入社員の受付はスムーズに行われた。
去年は開式ギリギリに受付にきて、講堂に入った瞬間既に入場していた社長に睨まれた子がいたらしいけど、今年の新人は１０分前には全員が受付を済ませてる。
・・・のに！
５分前になってもまだ受付を通っていない人がいる。
しかも現職！
式では社長の他に各部から１名代表して祝辞を述べる事になっているのだけれど、その内のひとりがまだ来ていない。
「営業部営業１課、櫻井翔・・・」
件の人物は、よりによって明日の異動先の人間だった。
今日が入社式とはいっても会社は通常営業なのだから仕事の都合で遅くなっている可能性もあるけれど、それにしたってこの時間まで連絡が無いとは非常識なんじゃないの？
ありえないわー、とか考えながら携帯を手に取り営業部の番号を呼び出す。
そして通話ボタンをタッチしようとした瞬間、バタバタと誰かが走ってくる足音がした。
来たか、と顔を上げればやはりその人。
彼は社内でも目立つタイプの人間で、憧れてる女子は少なくないだろう
現に、一緒に受付を担当してる同僚も小声で「きゃー、櫻井さん」なんて両手で口を押さえてる。
直前でスピードを落としバンッ！と両手をついた彼は、ハアハアと息を切らしながら参加リストを指差した。
「えいぎょ、ぶの、」
名乗る時間があったらもう少し頑張って走って。
ゴールはここじゃないですよ。
式が始まる時間まであと４分。
「営業１課の櫻井翔さんですね。チェックはしておきますので急いで講堂に入って下さい。
まもなく社長が入られる時間ですので」
言いながら肩を押して行くように促すと「さんきゅ・・っ」と一言言い残してまた走っていった。
同僚は「あーん、行っちゃった」とか呑気な事を言いながら彼を見送っている。
社長を除けば式の参加者はこれで全員。
受付の私達はお役御免だ。
「リストとか持ってってもらっていい？
私、こっちのテーブルとか片付けてから戻るから」
「わかりましたー。じゃあ、先に戻ってますね」
「うん、よろしく」
二つ下の後輩に参加者リストやＩＤを入れていた箱なんかを任せて、自分は受付で使っていたテーブルと椅子の片付けを買って出る。
今日の彼女は何を張り切っているのか、柔らかい生地のピンクのワンピースだったから。
まあ、さすがにカーディガンは紺色だったけれども。
でもさすがにあの汚れの目立ちそうな色の服を着た彼女にはこっちはやらせられない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1902人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とも(プロフ) - こんにちは。赤い眼の真相？とっても気になります。ってか続きがめちゃくちゃ読みたいです( ^_^ ;) (2020年1月25日 13時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - みやさん» みやさん、こんにちは。大変お待たせしましたm(__)mたったの１話ですが更新いたしました。この後はもう少し更新頻度は上がるかも。お時間ある時にお付き合いいただけたら嬉しいです(^^) (2018年5月12日 13時) (レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 待ってます (2018年4月14日 10時) (レス) id: 31283dda21 (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - みぃこさん» みぃこさん、こんばんは(^^)先程、すくない話数ですが更新してきました！もう少しコンスタントに進めるのが理想なんですけど、なかなか時間が取れません（T_T） (2018年2月26日 23時) (レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - おはようございます☆これからの更新楽しみにしてます(*^^*) (2018年2月14日 9時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青藍
作成日時：2018年1月10日 23時
