11 衝突 ページ11
「お先に失礼します」
「はい、お疲れー」
時間が半端だったこともあり、もう少しだけ松本さんに仕事のレクチャーを受け１時間残業をつけてもらって席を立つ。
デスクから持ってきた荷物は全部こっちに置いていくから身軽なものだ。
まだ残っていた課長に軽く挨拶をして部屋を出た。
瞬間。
「きゃっ！」
「うおっ！」
誰かと思いっきりぶつかった。
あっ！と思った時には眼鏡が飛び、そしてコンタクトも。
気付いた瞬間、しゃがみ込む。
「え！？どうした？どっかケガした！？」
行動に驚いたのか相手は慌てたように言い、その声で衝突の相手が櫻井さんだと気付いた。
櫻井さんも相手が私だと気付いたようで「え、Aさん！？大丈夫」と言いながら膝を折った。
ヤバイ。
瞬間的に思って
「すみません、眼鏡落としちゃっただけなので」
焦って返したけれど櫻井さんは目の前にしゃがみ
・・・黙り込んだ。
慌てて俯いたけど、見られた、のかもしれない。
足のすぐ脇に落ちていたコンタクトレンズを指先に引っ付け、サッと装着する。
眼鏡も真下に落ちていたからそれも。
これで普通に見られる筈だ。
櫻井さんより先に立ち上がり、深く礼をして詫びる。
「すみません、よく確認もせず開けてしまって。
お怪我はありませんでしたか？」
「あ・・いや、大丈夫。こっちこそごめん。」
立ち上がった櫻井さんと、きちんと目を合わせる。
じろじろとあからさまに顔を見られて、背中に冷や汗が伝った。
「その、め」
言い掛けた櫻井さんの言葉を遮り
「ああ、眼鏡ですか？ フレームもレンズも大丈夫そうです。
ご迷惑お掛けしました」
と早口で言い募る。
お願いだから気付かないで。そう願いながら。
「・・・」
数瞬の沈黙。
櫻井さんは黙って私を見ていたけれど、徐に自分の名刺を取り出し例の万年筆で何かを書いて
私に寄越した。
「・・・眼鏡、割れてないなら良かった。
でも、もし不具合とかあったらすぐ連絡して？
これ俺の連絡先ね？」
「いえ、大丈夫ですので」
「いいから」
「・・・ありがとうございます。
すみません、私の名刺、まだ出来てなくて」
「ああ、いいよ。
差し障りが無かったら俺の電話に連絡入れといてくれたら嬉しい」
「・・・はい」
眼鏡は大丈夫だったのに、何の為に連絡先を交換するんだろう。
考えると少し憂鬱になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1902人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とも(プロフ) - こんにちは。赤い眼の真相？とっても気になります。ってか続きがめちゃくちゃ読みたいです( ^_^ ;) (2020年1月25日 13時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - みやさん» みやさん、こんにちは。大変お待たせしましたm(__)mたったの１話ですが更新いたしました。この後はもう少し更新頻度は上がるかも。お時間ある時にお付き合いいただけたら嬉しいです(^^) (2018年5月12日 13時) (レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 待ってます (2018年4月14日 10時) (レス) id: 31283dda21 (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - みぃこさん» みぃこさん、こんばんは(^^)先程、すくない話数ですが更新してきました！もう少しコンスタントに進めるのが理想なんですけど、なかなか時間が取れません（T_T） (2018年2月26日 23時) (レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - おはようございます☆これからの更新楽しみにしてます(*^^*) (2018年2月14日 9時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青藍
作成日時：2018年1月10日 23時
