＿＿＿＿ ページ32
次の日、夕方からメイクにヘアメイク、スタイリストに力を入れて、いつもよりずっとずっと綺麗に着飾った。
彼の中の最後の私が、綺麗でいるように。
チャイムを鳴らして、入れてもらう。
合鍵は持ってない。望んだことさえなかった。
｢拓司、久しぶり。｣
｢おう、久しぶり。｣
お互い、何だかぎこちない挨拶をして、ぎこちないまま空いてるスペースに座る。
｢……部屋、片付けたんだ。｣
｢まぁ、久々にAが来るし。｣
付き合った当初も、私が部屋に来る度片付けてくれてたんだっけ。
1ヶ月過ぎたあたりからだんだん片付けなくなってたけど。
｢そ、か……あ、最近、仕事どう？｣
｢順調だよ。QuizKnockも、テレビ出演も。｣
｢そっか。それは何よりだね。｣
天使が通りすぎる間に、そっと深呼吸をする。
なんだろう、世界の音が遠ざかっていく。
｢……拓司。｣
｢何？｣
｢別れよっか。｣
多分彼も予想していたんだろう。
さほど驚いた様子もなかった。
｢……お互いの家に置いてる私物はどうする?｣
｢あ……それは、また今度取りに来るよ。｣
｢分かった。じゃあ俺のは今から行ってもいい？ついでに送ってくわ。｣
部屋は……まぁそこそこ片付いてるし、いっか。
｢ん、いいよ。ありがとう。｣
拓司が外に出る準備が出来てから2人で私の家まで歩く。
電車で行こうとしたのだが、拓司には人の目もあるし、本人が徒歩がいいと言ったから歩くことになった。
お互い無言で歩き続ける。
……ただ、歩けば歩くほど段々とヒールで来たことを後悔し始めた。
最後だから、と気合を入れた結果ヒールを履いてきたのだが、慣れないこともあって段々脚が痛くなってきたのだ。
｢どした？｣
｢ちょっとだけ脚が痛くて。｣
素直に伝えると、ほら、とおんぶする仕草をしてくれる。
｢いいよ！自粛期間で太っちゃったし、重いよ。｣
｢鍛えてるから平気。ほら、痛いんだろ？｣
痛いと言ってもまだ我慢できる程度なのだが､ここは甘えることにした。
初めてされたおんぶは緊張でやばくて、男性らしく骨ばっているのがよく分かった。
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辰海恋歌(プロフ) - あすさん» 早速読んでいただきありがとうございます。この後どうなるかも一応考えてはいますが、次回の短編集のテーマとは少し合わないと思うのですぐに公開、という訳ではありませんが、必ずあす様の目に留まる形に致しますのでしばらくお待ちください。よろしくお願いします。 (2021年11月5日 0時) (
レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - 辰海恋歌さん» 早速続き拝見しました！fkrさんが詰め寄る感じいいですね！続編？半年後fkrさんとどうなっているのか気になります！ (2021年11月4日 22時) (レス) id: 14b7e1c0b8 (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - あすさん» こんばんは！そういって頂けてとても嬉しいです！最後まで気に入って頂けますと幸いです。 (2021年11月4日 20時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - こんばんは！結ばれる悲劇、終わらない悲劇を読んで切なくもありますがとても気に入りました！続きが気になります… (2021年11月3日 22時) (レス) id: 14b7e1c0b8 (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - あすさん» いえいえ！気に入っていただけて良かったです！！ (2021年7月17日 23時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：辰海恋歌 | 作成日時：2021年5月19日 16時
