退屈な日々に【9K】

映画鑑賞会ーkwmrー ページ4

俺の彼女は、泣かない。

それは感動的なシーンを見ても心が動かないとかそういう話ではなく、彼女はいつもプラスの感情に溢れているのだ。

そんな彼女の明るさに惹かれ、俺から告白をして付き合い始めた。


関係は順調に進み、今ではほとんど同棲しているような状態だ。

ほとんど、というのは実家暮らしの彼女が俺の家によく泊まりに来るという意味。


｢A、最近クマ酷くない？｣


何となく口にした疑問に、彼女は酷く焦っていた。


｢いや、大丈夫だよ！最近ちょっと忙しいせいかもしれない。あ！クマってただ血流が悪くなってるだけだから、実は寝不足とはあんまり関係ないって話があるの知ってる？｣


自然と話を変えられたが、話自体は気になるので俺も無理に戻すことはしなかった。


まぁ、彼女は甘える時は素直に甘えてくるし大丈夫だろう、とタカをくくっていた。



しかし、そんな俺の予想は外れ、気づけば1ヶ月が経っていた。

彼女は最近俺の家に泊まりに来ることも、会うことも減っていた。


河村・拓哉今日家来る?

そう聞いても、

Aんー、今日はやめとく。

そんなやり取りを繰り返していた。



そんなある日、明日から連休に入るということで、彼女もさすがに時間があるだろうと思い、外出が得意でない俺は彼女を家に誘った。


河村・拓哉映画鑑賞会しようよ。


メッセージを送って数時間。

Aいいね、やりたい。

Aじゃあ、明日の朝そっち行くね。


久々の乗り気の返事に嬉しくなる。


河村・拓哉分かった。


傍から見れば淡白な文字のやり取りに見えるかもしれないが、これが俺たちの程よい距離感なのだ。

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