退屈な日々に【9K】

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こうちゃんが電話を切って、私はうつ伏せになる。


｢ほら、さっさと帰れよ。｣


頭をつつかれて顔を上げると、ニヤニヤ顔のこうちゃんが肘をついてこちらを見ていた。


｢こうちゃん。｣

｢ん？｣

｢ありがと。｣

｢どういたしまして。｣


こうちゃんとお店を出て家に帰る。



｢ただいま〜。｣

｢おかえり！こっち来て！！｣


須貝さんに腕を引かれてリビングに入る。


パンっ

｢お誕生日おめでとう！！｣


須貝さんに座らされて、須貝さん自身はキッチンに消えていった。

パチン、と部屋の電気が消えて、ロウソクの明かりが須貝さんの顔を照らす。


｢はっぴばーすでーとぅーゆー！ーー｣


ハッピーバースデートゥーユーを歌ってくれる須貝さんは推し事してる時以上の笑顔で。


｢はっぴばーすでーとぅーゆーーー！ほら、吹き消して！｣


言われるがまま、ロウソクを吹き消した。

来年もこうしてお祝い出来ますように、と願いを込めて。


｢おめでとう〜！！｣


ぱちぱちと拍手をしてくれて笑顔になる。


｢ありがとう！！｣


須貝さんが部屋の明かりを付けて、座り直す。


｢これ、誕生日プレゼント。｣

｢ありがとう。……開けていい？｣

｢もちろん。｣


包装を丁寧に開けると、可愛いブローチ。


｢わぁ、可愛い。｣

｢気に入ってくれたみたいで良かった。今日、遅くなってごめんね。｣


私は首を横に振る。


｢んーん。こうして祝ってくれて嬉しいよ！｣


スっと、須貝さんがそばに寄ってくる。


｢……須貝さん？｣

｢ねぇ、こうちゃんと何してたの？｣

｢え、こうちゃんとは、飲んでた、だけ。｣

｢ふーん。……こうちゃんが電話に出た時、びっくりしたんだけど？｣

｢ごめ、ん……。｣


須貝さんの顔がどんどん近づいてきて、思わずぎゅっと目を瞑る。


｢次からは、ちゃんと七海が出てよね。｣


バレてた。


耳元で囁かれる声に耳が赤くなるのがわかる｡

ちゅ、と小さくキスをして須貝さんが離れていく。

そっと目を開けると、須貝さんの艶やかな笑顔がこちらを見ていた。


｢じゃあ……来年は、推し事せずに私と一緒に過ごしてよ。｣


須貝さんは少しびっくりした表情になった。

そして、くすっと笑う。


｢うん。来年は朝からずっと一緒にいようね｡｣


それから私は須貝さんと飲み直した。


来年、楽しみにしてるね。

……駿貴さん。

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